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小銃などによる水平射撃の釣瓶撃ちが始まり、市民らはどこから持ってきたのか青銅のカルバリンのようなより古ぼけた大砲や暴走させた馬車をダキア軍に放ち、それが織りなす終末のような景色に神父が必死に祈りを捧げるが暴徒に殴り倒され、その高価そうな服に火を放たれる。
この世に地獄と鉛玉の雨を表したかのような風景の中に、場違いな貴族の紋章が付いた馬車が動き出し、荷台から機関銃が出てきて集まっていた野次馬もろともなぎ倒す。涙の海に溢れる血飛沫、血と涙のカクテルが大地を満たしてそのしずくを離さない。ここは本当にあのダキアなのか?牧歌的で前時代的な人々の集まりのように感じたが目の前の出来事に怒りを感じた。これでは人に品性を求めるのは絶望的なのか?それでも、なお俺は人は希望や未来に向かい歩み続けれるのを知っている。
踏みにじられた新芽よりも人間はかくも立派で耐え難きをたえ、そして前へと更に前へと前進をし、止まらずに進撃を繰り返す。過ちもあるだろうが人は乗り越えるだろう。でなくては、何が人間で人間ではないのだ?人は暖かさを持った生き物なのだ。その温かさは凍土も慈しみがある大地に変え、人が生まれるべき、そう人間が生まれる大地を作るだろう。それが人間の答えなのだ。
走りながらも思考は加速する。あのご自慢のコレクリウスは何をしているのかと思ったが、大騒動を見るに学生リーダーには荷が勝ったのだろう。さらに言えばこれは‥‥。
「シュトレーゼマン、あの旗はルーシーだな。」
暴徒の中にルーシー国旗を見つけて、すかさず宝珠で映像記録を取る。彼らはルーシー国旗やおそらく労働団体の旗を掲げて商店や銀行を襲っている、商店の主人だろう老夫婦を殴るのを確認したときに、隣のシュトレーゼマンが腰に下げた拳銃を引き抜き暴徒に発砲しようとしていた。
「アイツら!ふざけるのも!」
シュトレーゼマンの腕を掴んで、それを止めた。相手は何をするかわからない暴徒だ。それにその仕事はダキア警察や軍の仕事であり、帝国人は何もできない。我々はテロリストではなく軍人なのだ。追い込まれたとき以外は暴力を振るうべきではない。
「よせ!シュトレーゼマン!こちらから発砲できない!我々は全権大使の命令で動いている。落ち着け!全権大使が命じたのは暴徒の鎮圧ではなく、自国民の救済だ。それにここで撃っても何も変わらない!」
その言葉にハッとした様な顔をしたシュトレーゼマンは、俺の宝珠を見て、襟元に掴みかかる。そして、鼻息があたり、前髪がつくぐらいに近寄られる。
「ジシュカ中尉!貴方ならできるでしょう!その力がここにある。あんなのを見過ごせと?それこそ、帝国軍人の恥だ!」
そう言われてもシュトレーゼマンやそれに同調している衛兵たちは怒りを見せていたが、少しの時間が彼らを冷静にして
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