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帝国兵となってしまった。
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るかわからないと‥‥そう思うのはおかしいですか?」
 ポエムチックになりすぎてわけのわからない長文を吐き出してしまった。なんの意味があるんだろうか?

 「新兵くん、私だってそのくらい悩んでいたときもある。時には暴徒の鎮圧などにも派遣されるからな。しかし、誰かは汚れ仕事をしなければならない。なら、老人の私達がやるべきで未来がある若者にはさせんさ。」
 新たにタバコを吸って間を開けてからこちらを見る軍人の顔は夕日に照らされてにこやかだった。何者なのだろうか?この軍人は?


 「軍にもそのぐらいの分別ぐらいはあるつもりだ。何事も新しくやるのだから君みたいに思い悩むのも仕方がない。だが見てほしい。我々軍が守ってるからこの営みがある。人がいる‥‥国は人が居てこそだ。だからこの国を守りたいのだ。君の名前はフリードリヒくんだったね。私の名前はハインリッヒ・バークマン。陸軍特務上級大尉だ。君のような若者は歓迎だ。」
 手を差し伸べられた。断る雰囲気でもなく、理由もないから握手をした。そうするとバークマン‥‥特務上級大尉?士官学校も出てない叩き上げの軍人ではないのか?特務と上級が付いてるとか何をしたらその階級になるんだよ。実質、軍の中はともかくとして兵士からしたらなら、この人と少佐が同じ戦場にいたとして優先されるのはこの特務上級大尉だ。軍学校もいかずにそうした経歴を持つ人を選ぶの必然だ。

 新入社員より30年いるパートが実質リーダーなように当たり前の話だ。というか、やっぱり何をしたら特務がついて上級が付くんだよ。よく見たら略章で胸元がカラフルだし、帽子にも徽章が多数ついてる。戦間期でこれだけ徽章を貰えるとか特殊部隊かなにかか?そうだ。教官よりこのバークマンに論文を渡したほうが危険思想による除隊になるだろう。

 「私は立派な軍人と握手ができるような人間ではありません。こんなものを書いていますから。」
 さっき書き上げたばかりの論文という名の国を痛烈に批判した怪文書を渡す。表紙にはそれっぽく【継続国家百年ノ計及ビ國體ノ保持ナラビニ帝政永年ノ意見書簡】と書いた。

 「なるほどな。そういえば訓練所の寄宿舎は知っているのか?」
 知らないと正直に話すと、バークマンは案内図を書いてくれた。

 バークマンの案内図に従った先にあったのは古い石造りの建物で此処かと一人納得して入っていた。


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