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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
訳あってあたしは、ふたりと再会する
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俺の名前は田中(たなか)賢士(けんし)

困っている人を助けるのが趣味な元短大生だ。

「…で、その2人を拾ったと。」
「まぁな。そしたらこの図書館に連れてって欲しいと頼まれたわけだ。」

そうして今、俺は現在進行形で人を助けている。

いや、この場合はサーヴァントだろうが、人間もサーヴァントもそんな大した差じゃないだろう。

「…なんか、あったの?」

ここの図書館館長、源 葵が俺が連れてきた2人に視線を合わせてしゃがみ、なるべく優しく話しかける。

どうやら知り合いらしい。
いや、知り合いじゃなければここに行きたいなんて言うわけないか。

「その…あの人達…マスター達の仕事はわたし達にちょっと合わないかなぁ…っていうか…。」
「わたしやイリヤには酷だった。だから意を決して離反したんです。」

困っていたサーヴァントは2人。
イリヤと美遊。
他人の揉め事にクビは突っ込みたがる性分の俺が聞いた話によれば、どうやらこの2人、元は傭兵のマスターのサーヴァントだったらしい。

「尾頭さんは出ていくことについて何か言ってたの?」
「ううん…何も話してなくて…ただ、当たり前のように人を殺す環境に、なんだかもう…これ以上、耐えられなくなって…」

目に涙を溜め、今にも泣き出しそうなイリヤ。
それを美遊が抱きしめ、なだめる。

「マスターには会わないで出てきました。わたしはもうこれ以上、イリヤが困るところを見たくはないから。それに、イリヤが出ていくならわたしも出ていく。そう決めたんです。」
「……。」


傭兵稼業。
世界が崩壊してから増えたほぼマスターの専門職みたいな職業。

人によるが金さえ貰えればなんでもやる。
それこそ殺しでも。
例えその殺害対象が善人だったとしても。
しかも尾頭とくれば聞いたことがある。

傭兵界隈じゃ財団専属となったあの置鮎と肩を並べる程の実力者だ。

そしてこの2人は、その尾頭の元から自ら離れることを選択した。

後先考えることも無く、ただ、血塗れの傭兵の世界から逃れるために。

そうして俺が見つけた。

サーヴァントとはいえ年端もいかない2人がこの辺りをウロウロしてるもんだからそりゃあ助けなきゃならないと思った。

この年頃はまだ疑うことをあまり知らないし、大人の汚さなんてものも知らない。
悪い大人に騙されオモチャにされちまうなんてこの世の中じゃ珍しくない話だ。

それに、葛城財団なんていう超ヤバイ組織だっている。
まぁ今は関東エリア侵入禁止で介入できないってウワサが立ってるが、あんな極悪非道組織がいつまでもお利口に約束を守れるだろうか?俺は守れないと思う。

そんなわけで俺はこの2人を連れ、迷子かなにかかと問うてみたら
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