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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
訳あってあたしは、ふたりと再会する
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がいる。いや、話しておくべき男がいるんだ。」

急に真面目な顔になり、腕を組む賢士。

「葵は知ってるか?自分なんかの命よりも、目の前の命を優先した馬鹿みてぇなお人好し。いくら傷つこうが、いくら石を投げられようが、それでも人の為に頑張り続けたやつの話を…。」

「……。」

知ってるか?って知らない前提の語り口で話されたけど…
知ってる気がする…。
この前、聞いた気がする。

「…。」
「おい、なんだその顔。」
「あぁいや、それってもしかして…クリスさんって人?」
「知ってんのか!!!???」

思わず椅子から立ち上がる賢士。

「クリスは…クリスは無事なのか!?今どこにいるんだ!?」
「ごめん、そこまではわかんない。あたしもこの前ここに来てくれた人伝いに聞いたからさ。」
「何!?」

随分と慌てた様子の賢士。

そう、彼の言う男とは、
以前大和さんから聞いた男のことだった。

名前はクリス。
とはいっても外国人じゃなく生粋の日本人。
あだ名みたいなものでそっちで呼ばれることが多いから皆そう呼んでいたらしい。

「あたしが聞いた話だと…」

とりあえず大和さんから聞いたことをあたしはそのまま賢士に話していく。

というより、そのクリスという男は何者なのだろうか?
もしかして有名人?その手の界隈では名の知れた人?
あたしは全然分からないけど、実はめちゃくちゃすごい人?

ここまで来るとそんな有名人にあたしも直接会ってみたくなってくるけど…

「それで…その続きは…!?」
「いや、わかんない。その人から聞いた話は、そこでおしまい。」

消息不明なんだった。

「クリス…お前…っ!」

お話を全て聞き終え、両目を手で覆って項垂れる賢士。
時折肩が上がるところを見るに、泣いている。

「あいつは俺と別れてからもひたすらに頑張ってたってのに…そいつぁあんまりじゃねぇかよ!!なぁ!!!!!」
「あたしにキレられても…。」

とにかくあたし達に出来ることは、彼の幸せを祈るくらいだろう。

「葵!!」
「えっ」

すると突然両手であたしの手を握ってきた。

「お前は英霊やそのマスターの生き様を聞き、それを本にするのが生業なんだろ!?」
「まぁ。まだ出しては無いけど。」
「じゃあ出そう!!あいつの生き様は埋もれさせていいもんじゃあない!!あのハイパーお人好しバカのやったことは…もっと多くの人が知るべきなんだ!!」

そう熱弁する賢士。
一体何がここまで彼をそうさせるんだろうと不思議に思う。

「ただいま戻りました…ってマスター、何をされてるんです?」

ちょうどその時、案内を終えてサーヴァント達が帰ってきた。

ガチ泣きしながらあた
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