八十三 シカマルVSペイン天道
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面に激突した。
息を呑む。
手の甲に突き刺された最後の杭のせいで、未だ自由になれないナルは必死でシカマルの名を呼んだ。
「しかまる…しか…っ、しか…!」
動揺しすぎて昔の呼び方をしていることにすら気づかない。土煙が高く舞い上がっていて、視界は不明慮だ。
けれどその土煙の高さが、シカマルが落下した衝撃の強さを物語っていた。
「しかァ…!!!!」
幼い頃のシカマルの呼び名を懸命に叫ぶナルを嘲笑うように、ペイン天道は墜落したシカマルのもとへ近づいた。
そうして、見せつけるかのように一度、ナルにちらりと視線を投げる。
なにをしようとしているのか察して、ナルは絶叫した。
「やめろォ…!!!!」
黒い杭を振り翳す。ナルを串刺しにしたモノと同じ鋭いソレをシカマルに刺そうとした天道は、一瞬、その腕を止めた。
頭から血を流しているにもかかわらず、シカマルの口許がにやり、と笑みをかたどった。
「【影真似の術】成功」
その言葉にペインは咄嗟に自分の足許を見下ろした。
不用意に近づいたのがマズかったか、と影を見る。
だが、自分の身体は自由に動ける。
ハッタリか、と警戒を僅かに解いたペイン天道の背後で、カラン、と音がした。
何かが抜ける音。
後ろを振り返る。そこには地面に転がる、最後の杭があった。
九尾の人柱力を地面に縫い付けていた最後の砦。
ナルの手の甲から杭を抜いた影が、しゅるり、と音もなくシカマルの影へ戻ってゆくのを、ペインは視界の端に捉えた。
(こいつ…!)
苦々しげにシカマルを見下ろす。
最初からこいつは自分に勝とうとは思っていない。
一撃を入れようなどと微塵も考えていない。
ただ、波風ナルの自由だけを求めていた。
つまり、最後の言葉もわざとペインに足元に注意を向けさせ、ナルの手の甲の杭を抜くことが本命だったのだ。
「なるほど確かに。おまえは火影の補佐役になれる器の持ち主だ」
ナルの影と自分の影を繋げることで、最後の最後で全ての杭を抜いたシカマルを憎々しげにペインは見下ろす。
「だがその優秀すぎる頭脳、ここで散っておけ」
そうして今度こそ、自由になった波風ナルの目の前で。
ペイン天道はシカマル目掛けて、杭を振り上げた。
グサリ、と貫通する音が、戦闘で荒れ果てた大地に轟く。
地面にゆっくり広がる血だまり。
「ちょうどこんな風にだったか…俺の両親もお前達木ノ葉の忍びに目の前で殺されたんだが…」
ペインの声が遠くに聞こえる。
「愛情
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