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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十三 シカマルVSペイン天道
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身のほうを本体だと考えたペインによって、シカマル自身は天道の注意から逸らされる。

その隙にナルのもとへ向かおうとしたが、やはり流石は里を壊滅状態に追い込んだ強者。
そう易々とナルへ近づけさせてはくれない。

影分身を始末したペイン天道に首を絞められるも、隠し持っていたチャクラ刀をわざと外すようにして空へ投げ、ペインの影へ落下するように計算した。
再び動けなくなったペインの攻撃範囲内から抜け出し、ナルのもとへ今度こそ駆け寄ろうとしたが、地面を割られたことでチャクラ刀の拘束から逃れた天道に術で空へ弾き飛ばされる。

空中に飛ばされるも、自分の影と割れた地面の影を利用し、【影縫いの術】でペイン天道を翻弄。
ナルの杭を抜くと見せかけ、ペインの注意が自分から逸れた瞬間を狙い、天道の身体に秘かに纏わりつかせた影を【影寄せの術】で引き寄せる。
空中へペインを影でぶん投げ、逆に自分が目論見通り、ナルのもとへようやく辿り着けたというわけだった。


「攻撃ってのは一手目は騙しのフェイク。二手目を当てるのが基本なんだが…おまえのもとへ来るだけで一苦労だぜ」
「し、シカマル…」
「なに、しけた顔してんだ。おまえはそんな顔より…」

ペイン天道によって杭で地面に縫い付けられて動けないナル。
そこへちょうど覆い被さるようにして地上へ降下したシカマルは、早速杭を二本抜く。

実は【影縫いの術】で二本は既に抜いていた。
七本目の杭を刺そうとしたペインの行動は、最初の【影真似の術】で阻止できた為、残り二本。
その内の一本の杭を、ナルに話しかけながらシカマルは急いで抜こうとした。
だが。

「ぐ…ッ、」

シカマルの左肩を、杭が貫いた。


「し、しか…ッ」

鮮血がナルの頬にかかる。
シカマルの肩から噴出した血が、呆然と見上げるナルの顔に注がれた。

空中から、杭を凄まじい勢いでシカマルに投擲したペイン天道が無表情で手を掲げる。
その術が発動する前に、シカマルは左肩の激痛を無視して、ナルの杭を力任せに抜いた。

「【神羅天征】」
「が…ッ、」


空を舞う。
血飛沫をあげながら弧を描くシカマルを、ナルは大きな瞳を更に大きく見開いて仰いだ。

全てがスローモーションに映る。
それは空へ投げ出されたシカマルも同じだった。

(ああ…)

ナルの声ならぬ叫びが聞こえる。
絶望と哀しみが入り雑じった茫然自失とした彼女の顔は今まで見たこともない表情だった。

(そんな顔をさせたかったわけじゃねぇ…)

朦朧とする意識の中、ナルの顔だけがシカマルの瞳に映る。
最後の力を振り絞って抜いた杭が、手から滑り落ちた。


(俺は…おまえにはいつだって…笑顔で、)


直後、シカマルは地
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