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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十三 シカマルVSペイン天道
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だが、ペインのその行動に既視感を覚える。
そうだ、確か、『暁』の角都・飛段の不死コンビを分断し、飛段をやっとの思いで地中深くに埋めたと思った矢先に現れた謎の人物。
飛段を救出した白フードを【影真似の術】で動きを止めたものの、数分ももたずに逃亡を許してしまった。
その際に白フードが取った手段がペイン天道と同じではなかったか。

地面を割ることで影から逃れ、強引に拘束から脱した白フードの姿が脳裏に過ったが、今はそんなことを思案する余裕がシカマルにはなかった。


空中で印を結ぶ。
自分が高く飛んでいても、影は落ちる。その影が揺らめいたかと思うと、針のように鋭く伸びあがった。

「忍法・【影縫い】…!」

影が糸を縫うように細く地を這う。針の如く蠢く影はペイン天道を捕らえんと縦横無尽に地面を奔った。
糸のように拘束しようと、或いは針のように突き刺そうと蠢く影の猛攻に辟易としていたペインはハッとする。

(そうだ、こいつの狙いは九尾の人柱力…!)

地面に杭で縫い付けた波風ナルの解放。せっかく捕らえた人柱力を逃がしてなるものか、と天道は視線をナルへ向ける。
案の定、影がナルの杭に纏わりついていることに気づいたペイン天道は注意をシカマルから逸らした。
その隙を見逃すわけがない。

「【影寄せの術】!」

瞬間、ペイン天道の身体がぐいんッと空高く舞い上がる。
不可解な出来事にペインは空中で眼を見張った。

つい寸前まで地上にいたはずなのに、いきなり空へ放り出されている。
その原因はすぐにわかった。自分の身体に纏わりついている影だ。

(影の触手で掴んだモノを引き寄せる術…それを使って俺との立ち位置を入れ替えたのか!?)

空中で浮遊していたシカマルは、影で引き寄せたペイン天道を吊り上げ、逆に自分が地上へ下降したのだ。
【影寄せの術】の引き寄せる力と、自分の体重を上手く利用し、ペインと自分の位置を入れ替えた。

更に、九尾の人柱力を奪われまいとナルの傍に駆け寄った瞬間を狙う。
よって、シカマルは目論見通り、波風ナルに覆い被さるようにして地上に戻ることができた。

「し、シカマル…」

空へ放り出されたペイン天道と入れ替わりに、自分を守るように覆い被さるシカマルを、ナルは不安げに見上げた。

「ナル…おまえ、やっぱスゲぇよ…」

肩で息をしながら、荒い吐息の合間にシカマルはあえて余裕そうに笑ってみせた。

「俺じゃ【影分身】一体つくるので精一杯だったぜ」



まず最初にペイン天道を【影真似の術】で動きを止める前に、シカマルは前以て【影分身】をつくっておいた。
自分が遠距離タイプだとペインに即座に看破されることを見越して、影分身にクナイを投げさせる。
そうすれば影分
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