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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十三 シカマルVSペイン天道
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らない、空よりも透き通った綺麗な青の瞳が。
シカマルは好きだった。


だからその瞳が曇ることが。シカマルにとっての太陽が陰ってしまうことが。
どうにも我慢ならなかった。




「増援か…」

【影真似の術】で動きを封じられたにもかかわらず、平然とした面持ちでペイン天道が術者を睨み据える。
標的をシカマルに定めた敵に青褪めて、ナルは「な、なんで…」と震える唇で叫んだ。

「なんで来ちゃったんだってばよ…!!早く逃げろってば、シカマル…!!」

必死に叫ぶナルに視線を投げる。
ペインによって地面に杭で縫い付けられている痛ましいその姿に、シカマルは唇を噛み締めた。

「ナル…お前はいつもそうだ。無理ばっかしやがって…!俺達の為にどこまで…」

あれだけ辛い過去があっても、それでも猶、里の為に。
木ノ葉の里に住まう人々の為に。
そしてなにより自分達仲間の為に、己を犠牲にして戦うその健気な姿に、シカマルは独り言のように悔しげに呟く。

「今までだって俺らのこととなると手抜きも妥協もしねーから…お前の前だと俺もめんどくさがったりできなくなっちまっただろ…」

シカマルの独白染みた言葉に、ナルは眼を見張る。

「な、なに言ってんだってばよ…!?いつもみたいにメンドクセーって言ってくれってばよ…!」

自分を助けようとしないでくれ。めんどくさいと言って逃げてくれ。
頼むから早く此処から立ち去ってくれ。

そう心から願うナルの心情が手に取るようにわかる。
だけどシカマルはここで退くわけにはいかなかった。

「……おまえが今まで一人で辛ェーこと腐るほどやり抜いてきたこと……俺は後で知った」

急に語り始めたシカマルにペインは怪訝な顔をする。
一方、意味がわかったナルは顔を曇らせた。

木ノ葉の里でかつて自分が幼き頃、どんな仕打ちを受けてきたのか。
シカマルと出会うまでの辛い日常を、思いだしたくもない過去を、そして霧がかかったように思いだせない昔の、四歳以前の日々を。
そんな過去の出来事を蒸し返すシカマルを、ナルは困惑げに見つめる。

「もう今はそんな思いをこれっぽっちもさせたくねェ…とにかくそう思いたくなんだよ…ナル…おまえと一緒に居るとよ」

目線こそ、無言で佇むペイン天道を油断なく見据えていながら、シカマルの言葉はナルにだけ注がれていた。

「おまえといると…俺はこいつと一緒に歩いて行きてぇ…そう思わされんだ」


そこで言葉を切って、シカマルはペイン天道を真正面から睨みつける。
今度は警戒すべき敵に向かって、彼は印を結んだ。

「だから、こいつが火影になった時、俺が隣に居てやらねェーと。ナルの相談役に俺以上の奴はいねーからよ」

だから諦めろ、と暗に告
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