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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十三 シカマルVSペイン天道
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があるからこそ犠牲が生まれ…憎しみが生まれ…痛みを知ることができる」

そんな言葉など、耳からすり抜けて、ナルは目の前の光景を見る。
シカマルのおかげで自由の身になった途端に、突き付けられた残酷な現実に、ナルは呆然と立ち佇んだ。

空のように透き通った瞳の青が、赤い血を映し出す。



赤い、紅い、あかい・・・。


ぷつり、と切れる音がした。





瞳の青が真っ赤に染まる。
金の髪が怒りに呼応し、空へ逆立って波打った。

二つに結わえられた髪留めが弾き跳び、長い金の髪が九尾の尻尾のように宙を舞う。
瞬間、ナルの身体からチャクラが迸る。







壊滅状態の木ノ葉の里の中央。
その中心で、獣が慟哭した。






































「おい、そこのおまえ、大丈夫か!?」

壊滅した木ノ葉の里。
ペイン天道によって崩壊させられた里で怪我人を治療する為に駆けずり回っていた綱手は、倒れ伏せた人を見つけて駆け寄った。

シズネ・いの・ヒナタにも怪我人の治療にあたってもらっている。
波風ナルがペイン天道と戦っている今、五代目火影である自分が率先して里人を守らねば、と使命感に燃えている彼女は、ひとり残らず助けてみせると意気込んでいた。

奇跡的に死者はいない。その原因が二尾・三尾・四尾・五尾・六尾・七尾の人柱力の功労によるものだという事実は流石の五代目火影も知らなかった。

ただ、自分はとにかく目の前にいる怪我人を少しでも多く救わねば。
それができなくてなにが火影か。

だが彼女は目の前の患者を救うことしか見えてなかった。
周囲が人気がなく、妙に静かだという違和感に気づけなかった。


「おい…!」

倒れ伏す相手を抱き起す。
怪我を治療しようとした途端、綱手の腕に何かが巻き付いた。

「な…っ」

蛇。無数の蛇が綱手の腕に絡みつく。その蛇は助け起こした相手から伸びていた。

(大蛇丸…!?いや、)

墨の蛇。墨で出来た蛇が綱手の腕を拘束する。
同時に、蕾が花開くように、墨の蛇を衣のように纏っていた相手が、綱手に囁いた。

「……ごめんなさい…」

見覚えのある髪の色。桃色の髪が視界に翻る。

「さ…くら…」

瞬間、腹部に凄まじい衝撃を受ける。
ぐらり、と視界が傾き、地面に頭を打った綱手は、朦朧とする意識の片隅で見た。








「──よくやった」


墨の蛇を操っていたサイと、綱手の不意をついたサクラ。
自分の部下達を下がらせて、杖をついて近づく男。
意識を失ったふり
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