第一章
[2]次話
可愛い女の子が描いた絵
本田雅美はきらきらした黒目がちの目と色白でやや面長の顔、紅の唇、黒く光沢のある長い髪の毛を持つ美少女だ。街を歩くとよく芸能事務所からスカウトされる。
だが本人も家族も芸能界に興味はなく雅美は至って穏やかで優しい性格だった。そして絵を観るのも描くのも好きだった。
「将来は画家になりたいな」
「そうか、頑張れよ」
「沢山絵を描きなさい」
優しい両親はそんな彼女を応援した。だが。
姉の愛海、妹をきりっとさせて背を一六〇位にさせてスタイルをよくさせたうえで髪の毛を赤く波立たせた様な外見の彼女は言うのだった。
「雅美絵が好きなのはいいけれど」
「そうだな」
「いい趣味よね」
「けれどね」
小学五年生の彼女の絵を観て言うのだった。
「どうもね」
「いい絵だな」
「そうよね」
「独創的過ぎない?」
優しい笑顔の両親にこうも言った。
「ちょっと以上に」
「そうか?」
「これ位普通でしょ」
「そうかしら」
その細い波の様な線ばかりで何か得体の知れない生きものがあちらこちらに描かれている絵を観ての言葉だった。
「これって画伯っていう絵じゃないかしら」
「そうか、画伯か」
「いい言葉ね」
「小学生でそう言われるなんてな」
「将来が楽しみね」
「いや、いい意味じゃなくて」
そうでなくというのだ。
「特別な意味だから」
「画伯っていうのはか」
「そうなの」
「そうよ、絵が好きでも才能はないんじゃないかしら」
妹についてこう言った、だがら成績優秀な妹にむしろ学者の方が向いているのではないかと思った。
だがそんな雅美が大学受験の時だった。
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