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博士の挑戦状
第百三十八話

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           第百三十八話  幽霊に足がなくなったのは
 華奈子も美樹が幽霊を見たといいう話には全く驚いていなかった、だがそれでもこんなことを言ったのだった。
「けれど何で幽霊って足ないって言われるのかしら」
「それ昔の絵からやで」 
 亜美がカステラを食べつつ答えた。
「それからやで」
「絵からなの」
「円山応挙って人が幽霊の絵描いてて」
 そうしていてとだ、チョコレートを食べている華奈子に話した。
「そこでお茶零してん」
「そうしたの」
「そうしたらそれが絵の足元をぼかして」
 零したお茶がというのだ。
「ええ感じになって」
「絵の足がなくなって」
「そうなってやねん」
 それでというのだ。
「これでいこうってなって」
「それで足のない絵になって」
「ここからやねん」
「幽霊に足はなくなったのね」
「そやねん、けれどこれは絵のことであって」
 それでというのだ。
「実際の幽霊は魂やから」
「その人の姿だしね」
 華奈子もそれでと応えた。
「そうだとね」
「足もあるな」
「そうよね」
「そやから昔の幽霊の絵は」
 それを見ると、とだ。亜美はさらに話した。
「ちゃんと足あるし」
「実際の幽霊もある」
「そういうことやで、ただ身体はないさかい」
 亜美はそれでとだ、このことも話した。
「影はないで」
「そうなるのね」
「それで鏡に映るか」
「映らないっていうけれど」
「鏡から出たりもするし」
「映るのかしら」
「そうちゃうか?」
 こう言うのだった。
「実は」
「そうなのね」
「そうやと思うで、まあ鏡のことはな」
 このことはというと。
「はっきり言えんわ、ただ足はその絵のことで」
「実際はあるわね」
「身体のままの姿やしね」
 それでというのだ、幽霊の足の話もしたのだった。それがあるかどうかのそれも。


第百三十八話   完


                    2024・2・1
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