第十二話 ドクターマンの影その四
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「板垣さん悪役なんだよな」
「よくいじめてるよね」
松尾も言ってきた。
「子供の頃の龍馬さんとか」
「かなりえげつなくな」
「後藤象二郎さんと一緒にね」
「俺が見たらとっちめる位にな」
「そうだよね」
「けれどか」
「うん、僕も聞いたよ」
松尾も伊賀崎に話した。
「お二人はね」
「会ったことがないんだな」
「一度もね」
「そうなんだな」
「これがね」
「後藤象二郎さんとは会っている」
加藤は彼とは、と話した。
「長崎からな」
「って子供の頃は合ってないのかよ」
「接点もなかった」
そうだったというのだ。
「ほぼな」
「そうなんだな」
「因縁がある様に書かれていてもな」
創作ではというのだ。
「これがな」
「長崎でか」
「お互い大人になってな」
「それからか」
「会っている」
実はそうだったというのだ。
「その時が初対面だった」
「子供の頃いじめられたとかはか」
「なくてな」
そうであってというのだ。
「本当にな」
「接点なかったんだな」
「そうだった」
「創作は創作なんだな」
「そうなる、本当の歴史とはな」
その様にというのだ。
「思わないことだ」
「いや、板垣さん達がいじめっ子でなくてよかったですよ」
タキガワは笑って話した。
「あっしとしては」
「そうだよな、いじめなんて最低のことだしな」
伊賀崎もそれはと言った、
「そう思ったらな」
「実際の方がいいですね」
「ああ、それで実際の板垣さんはどんな人だったんだろうな」
「あっしが聞いたところ凄くいい人ですよ」
「いじめなんてしないんだな」
「誰にも優しい、竹を割ったみたいな人で」
「何だ、本当にいい人だったんだな」
「ええ、後藤さんも器の大きい」
そうしたというのだ。
「そんな人でやした」
「どっちも悪い人じゃなくてか」
「能力もあったんでさあ」
「実際は違うんだな」
「よくあることです」
百地は知性が感じられる言葉で話した。
「事実は違うということが」
「歴史でもか」
「この世のあらゆることが」
「だから何でも鵜呑みにしないことか」
「そうです、そのことに気を付けないと」
百地はさらに言った。
「間違えてしまいます」
「そう考えたら気を付けないとな」
「そうです、くれぐれも」
「本当に気を付けるな」
伊賀崎は真剣に考える顔で言った、そうした話をしてだった。
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