第一幕
[2]次話
猫と優しい人
かつて軍人だったウィリー=オルティス白髪の老人である彼は今はコネチカット州ハートフォードでスクラップを集めて売って暮らしている、その彼は。
「爺さん今日もか」
「ああ、やるよ」
老人は知り合いの同業者に答えた。
「わしの務めだからな」
「それでか」
「今日もやるよ」
「毎日欠かさないな」
「好きでやっているからな」
こう同業者に答えた。
「だからな」
「今日もやるか」
「そしてな」
「明日もか」
「やるよ、ずっとな」
「生きている限りか」
「わしの後はな」
そこからも言うのだった。
「倅がいて結婚していて子供もいるしな」
「大丈夫か」
「ああ、だからな」
「生きている限りか」
「やっていくよ」
こう言ってだった。
彼は仕事が終わるとすぐにだった。
猫のコロニーに行って彼等にご飯をあげた、猫達は彼を見ただけで飛びつく様にして駆け寄って近寄ってだった。
「ニャア」
「ウニャア」
彼が出したご飯を食べた、オルティスはその彼等を見て心から喜んだ。その彼に同業者が一緒に飲んでいる時に尋ねた。
「またどうしてなんだ」
「わしが猫達の世話をしているかか」
「ああ、何でそこまでするんだ」
「思ったんだ」
オルティスはビールを飲みつつ遠い目になって話した。
「猫達を見てな」
「猫達をか」
「街で腹を空かせていてな」
そうしてというのだ。
「それでいて人に追い払われる」
「そんな猫達を見てか」
「それでな」
「あんたは思ったんだな」
「気の毒だってな、だったらな」
「爺さんが助ける、か」
「出来る限りのことをしてな」
こう彼に話した。
「そしてな」
「助けようってか」
「思ってな」
そうしてというのだ。
「はじめてな」
「今もやってるんだな」
「ああ」
実際にというのだ。
「こうしてな」
「そうなんだな」
「そうだよ、ただな」
「ただ?」
「猫達が喜んでくれてるからな」
老人はここで笑顔になって言った。
「それでだ」
「いいんだな」
「わしはな」
こう言ってだった。
猫達の世話を続けた、その話を聞いた同じハートフォード在住のニッキー=サイモンアフリカ系の大男の彼はオルティスのところに来て話した。
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