第4話:遺族への配慮が足りない……
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たし》が丁寧に教えないと解らぬとは!
こやつらの家族は堪ったもんじゃないのおぉ!
「違うな!愛する者を失った遺族の恨みの前では、その様な戦い一辺倒の綺麗事は効かぬ!」
その途端、突撃命令を得るべく私に頭を下げた連中の中から不満の声が次々と叫ばれる。
「では何か!?俺の妻はこの戦いの重要性を理解出来ないくらい馬鹿だと罵るか!?」
「俺の親父が聞いたら!必ず怒り狂うぞ!」
「我が娘が何の戦果も揚げず逃げ帰った我を見て喜ぶと本気で思っておるのか!」
「やはり貴様は、私や私の息子に恥を掻かせるだけの汚物じゃ!」
本当にこやつらの家族は堪ったもんじゃないのおぉ!待たされる側の身にもなれ!
「そんなの!お前達の勝手な想像だろ!いや、綺麗事だろ!」
この舌戦、絶対に負けられぬな!この馬鹿共の帰りを待つ家族の為にも!
「突撃大好きなお前達の言う『戦死』と愛する者の帰りを待つ者の言う『戦死』とでは、重さが違い過ぎるんだよおぉーーーーー!」
「何を言っておる!?名誉の討死を愚弄するか!?」
「愛する者を失った遺族にその様な言い訳が効くか!遺族共は愛する者を失ったんだぞ!」
ここで、豊臣秀吉は一気に畳み掛ける!
「遺族にとって、無知蒙昧で無謀愚策に突撃命令を出して愛する者であるお前達を無駄死にさせた私は、愛する者を殺した敵なのだ!そして、遺族達はお前達を犬死させた愚かで馬鹿な私に向かってこう言うだろう……『こいつさえいなければ私の夫は死なずに済んだのに!』、『俺の父が死んだのに何で貴様がのうのうと生きている!?』、『俺の恋人を返せ!この馬鹿女が!』、『貴様を殺してわしも死ぬぅー!』などとな!」
豊臣秀吉の熱弁にキョトンとするドウカァー達。
まあそうだろう。
お前達の家族がお前達の言う名誉の戦死を完全否定したと言っておるのだからな。
「……では……オラウ様は我々に……どうしろと言うのです……」
豊臣秀吉はハッキリと言ってやった。
「そんなの決まっている。お前らが死なずに敵に勝利すれば良いだけの事じゃ」
ま、豊臣秀吉は本当にその様な事が出来るとは思っておらんがな。
戦場に進んで立つ事は死に急ぐと同義じゃ。
だが!だからと言って味方の損害を最小限に抑える努力を怠って良い理由とも思っておらん!
味方の損害を最小限に抑えながら敵に最大限の損害を与える!豊臣秀吉のズルはその為にあるのだ!
「だからお前達に今この場で誓おう」
そう言いながら私の首に豊臣秀吉の刃を突き付ける。
「私のこの命に賭けて!お前達の家族に愛する者を失う苦痛を絶対に与えないと!」
そんな豊臣秀吉のズルいワガママにとっては、『兵を損なわずに敵を皆殺しにする方法など、決して存在しない』と
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