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シャチのお願い
第二章

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「シャチは母親を中心に群れを作るからな」
「それで母親を大事にしますね」
「子供達にしても」
「そうしますね」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「皆で支えて助けを求めているんだ」
「そうなんですね」
「それならですね」
「その求めに応えて」
「これからですね」
「ロープを切ろう」
 こう言って実際にだった。
 彼はロープを切った、すると。
 母親のシャチは解放されて元気に動きだした、その周りを子供のシャチ達が元気に動き回る。それを見てだった。
 キューストン達は笑顔になった、だがそれだけでなく。
「あっ、船の前に来て」
「皆で泳いでますね」
「母親も子供達も」
「皆で」
「あれはお礼だな」
 キューストンはその泳ぎを見て微笑んで言った。
「助けてくれた」
「そうなんですね」
「今度はそうなんですね」
「お礼なんですね」
「ずっと海で仕事をしていて」
 そうしてというのだ。
「ホエールウォッチングをしているとわかるよ」
「お願いしているのもお礼を言っている時も」
「そうした時もですね」
「うん、それで今はね」
 まさにというのだ。
「お礼だよ、いいことをしたよ」
「そうですね」
「お礼を言ってもらえる様なことをしましたね」
「そうでしたね」
「だからね」
 それでとだ、キューストンは船に乗っている面々に話した。
「これからもこうしたことがあったら」
「助けないといけないですね」
「絶対に」
「そうしないといけないですね」
「そうだよ、絶対にね」 
 キューストンは優しい声で話した、そうしてだった。
 シャチ達が去るとクルージングを再開した、そのクルージングは青い海と空の下で実に楽しく晴れやかなものになったのだった。


シャチのお願い   完


                    2024・4・22
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