第二章
[8]前話
「お前凄いな」
「小さいのにだね」
「自分で言うか」
「自覚しているからね、だからね」
小柄だからだというのだ。
「俺は技術を磨いたんだよ」
「守備に走塁にか」
「バントをな」
「そうなんだな」
「だから高校でレギュラーで」
「推薦も貰ったんだな」
「大学からスカウトされたよ」
それで入ったというのだ。
「そうなんだよ」
「成程な」
「一年だからすぐには無理でも」
「うちの大学野球で知られててな」
「先輩も凄い人ばかりだからな」
それ故にというのだ。
「一年ですぐにレギュラーは難しいけれどな」
「頑張っていってか」
「レギュラー目指すよ」
やがてはというのだ。
「そうするよ」
「それを言うと俺もだよ」
確かな顔でだ、三宅は応えた。
「自信があるしな」
「お前守備いいし足速いな」
「飛ばすのも自信あるからな」
「そうだよな、それじゃあお互いにな」
「やっていこうな」
二人で笑顔で話した、そしてだった。
共に野球に励み三年でレギュラーになった、そこから試合で活躍し共に八条リーグでプロ野球選手になった。
チームは別になったが二人はプロに入ってからも活躍した、そして会うと一緒に飲んで食べた。そこで三宅はよく徳田に言った。
「体格は影響してもな」
「それが全てじゃないな」
「ああ、お前を見てわかったよ」
共に飲みつつ話すのが常だった。
「本当にな」
「そう言ってくれるか」
「ああ、だからこれからも頑張れよ」
「お互いにな」
チームは別なので試合では敵味方になることが常だった、だが今は共に認めあう様になっていた。もう徳田の体格のことは問題ではなくなっていた。
体格をカバー 完
2024・4・21
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