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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十五話 激戦の予感
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かに我々と合流してくれ“

「はっ」

…スクリーンからグリーンヒル大将の姿が消えた。不安、ね。不安だろうな。イゼルローンを攻略した時は三個艦隊を指揮してもらったけど、あれは前もって攻め方が決まっていた。今回の様に純粋な艦隊戦となると指揮官の性格、各艦隊司令官との普段からの意志疎通の度合いや彼等の能力把握等で戦い方が決まる。おまけに戦闘開始当初は味方の方が劣勢だ。
「六個艦隊七万隻…途方もない数ですな。味方もそれに対応する訳ですから、十万隻以上の艦艇が向かい合う事になる。…宇宙艦隊司令長官自らが出馬してもおかしくはない規模の戦いです。アッシュビーの再来としては、どうお考えですかな?閣下」
「冷やかさないで下さいよ副司令…規模大きいですが、帝国との雌雄を決する戦いではありません。まあ大敗すれば話は変わって来ますが」
いつの間にか司令部艦橋にはスタッフが勢揃いしていた。皆、俺と副司令の会話を静かに聞いている。
「ハイネセンを出発する前にシトレ閣下と話をする機会があったのですが、おそらく今回の帝国軍の目的は彼等の正規艦隊の実力を試す為ではないか、と仰っていました。アムリッツァに侵入出来れば儲け物…くらいに考えているのだと思います。まあ、閣下とて推測で仰ったのですけどね…もしそうだとしても七万隻です、中途半端な戦いでは終わらないでしょうね」


9月25日12:00
フォルゲン星系、自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー

 「閣下、ヴィーレンシュタインで隠密行動中の通報艦カピュスUより通報です…帝国艦隊ノ位置、ヴィーレンシュタイン中心部、ボーデン宙域に向カウト推測…敵ニ分進ノ兆候ナシ…以上です」
「了解した、グリーンヒル中尉……ムライ中佐、ヴィーレンシュタインに向けて通常発信…各艦、撤退の時期を見誤るな、返信無用…以上だ」
「失礼ですが閣下、平文での発信は帝国艦隊に傍受されるのではないでしょうか」
「通信を傍受した帝国艦隊は索敵の為に行軍の速度を落とさざるを得ない。時間稼ぎだよ。それぞれが単艦で行動している通報艦を見つけるのは至難の技だ。それなりの時間は稼げると思うよ」
ムライ中佐への答えに成程、とパトリチェフ少佐が力強く頷いている。偉丈夫と例えてもおかしくはない少佐が頷く姿は、皆を納得させるのに充分な説得力があった。帝国艦隊七万隻、彼等が分進しないという事は、七万隻全てがボーデンに向かうという事だろう。

 「中尉、カイタルへ通報してくれ。敵は全力でボーデンに向かうと」
「了解いたしました」
兵力を分散させる事なく進んでいる、という事は…帝国艦隊は短期決戦を企図しているのだろうか…今頃は我々を除いた四個艦隊もカイタルを出撃しているだろう。今行った通報の結果として、おそらく我々には増援はない。
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