激闘編
第八十五話 激戦の予感
[4/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
当たっていたが、改めて正規艦隊司令官として抜擢されていた。ケルトリング、フォーゲル、カイテル、ドライゼの各中将は何れもミュッケンベルガー家やケルトリング家の一門縁者で、古くからの武門の家柄だった。第二次ティアマト会戦後は没落してしまったが、軍事貴族復活の為にミュッケンベルガーが子飼いとして見守って来た家門の跡取り達だった。ノルトハイム兄弟の能力は言わずもがなではあるが、残りの四名の指揮能力に関してはかろうじて平均水準といったところだろう。能力に関してはともかく、出自や過去の経緯からミュッケンベルガーへの忠誠は絶対だった。
ミュッケンベルガーが会議の口火を切る。
「皆に集まって貰ったのは他でもない。此度の出兵の作戦目的とその細部について皆に理解してもらう為だ。活発な質疑応答を期待する。グライフス、始めてくれ」
グライフスは起立してミュッケンベルガーに深々と一礼すると、作戦の説明を始めた。
「今回の作戦の目的はアムリッツァを不当に占拠する叛乱軍艦隊に対し一撃を加えると共に事に、近い将来行われるであろうアムリッツァ及びイゼルローン要塞奪取を目的とする作戦行動を容易ならしめる事にある。今作戦は三つの段階に分けて実施される。まず第一段階として、来たる九月二十八日迄にミュッケンベルガー閣下の直卒する五個艦隊がボーデンに布陣する。メルカッツ艦隊及びミューゼル艦隊は九月三十日にフォルゲンに布陣を完了せよ。クライスト艦隊はこの作戦会議終了後ハーンに向けて移動を開始、十月二日迄にハーンに布陣を完了せよ。あくまでも敵艦隊の殲滅が目的ではあるが、状況が許せばアムリッツァ進攻も予想される。各方面の指揮官はこれを忘れる事無く任務を遂行して貰いたい」
それぞれの星系への布陣時期に時間差をつける事で、叛乱軍の対応に困難を強いる訳か。よく考えたものだ。一見兵力の逐次投入と似ているが、これは似て非なるものだ。帝国政府の公式発表は六個艦隊による出兵…だが実際は八個艦隊。ボーデンに五個艦隊が出現すれば、叛乱軍はそれを主力と判断するだろう。しかし一個艦隊少ない。叛乱軍はそれを兵力を分散させる我々の作戦とみてフォルゲンに残りの一個艦隊が現れると判断するだろう。どちらにせよ叛乱軍はフォルゲンにも兵力を割かねばならない。となると、叛乱軍は我々の公式発表と同数の六個、または七個艦隊で防ごうとする筈だ。何故なら一個艦隊当たりの艦艇数は奴等の方が多いから、動かす艦隊の数は少なくて済む。援軍は多いに越した事はないが、出来るだけ少なく済ませようとするのも軍事組織の通例だった。我々六個艦隊とカイタルの叛乱軍五個艦隊の艦艇数はほぼ互角…だがハーンに我々の艦隊が現れる事は、おそらく叛乱軍は想定外の筈だった。この航路はオーディンまで遠廻りな上に、帝国、フェザーンの流通航路であって、軍が作戦行動用航路と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ