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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第198話:心と力を一つに合わせて
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タシの専売特許だった筈なのに……」
「まぁまぁ」
仲間を思い、愛する者を想う心が形となった温かな炎に包まれた響達の顔には笑みが浮かんでいる。その笑みから力を貰ったように、颯人と奏は周囲の氷を消し飛ばし再び棺への攻撃を再開した。
「「はぁぁぁぁぁッ!」」
輝きと炎の軌跡を作りながら棺へと向かう2人に、仲間達も続き攻撃に加わった。
その様子を離れた所から見ている二つの視線が合った。
「う〜ん、これは……なかなかどうして、期待が持てるでありますな」
「ま、あのアダムを正面から打ち倒したって連中だ。ウチらじゃまるで敵いっこないデカブツ相手に、あれくらいは頑張ってもらわないと困るんだゼ」
そうボヤくのは、雪原に溶け込む様に白いローブを頭まで被った2人の少女。こんな所で遠くから戦場を観察する辺り、その見た目の年齢も相まって只者ではないのだろう事が伺えた。
その2人の脳内に、互いの声とは別の女性の声が響いた。
『ピンポンパンポーンッ! どう? そっちは順調かしら?』
脳内に直接響く声……念話を受けて、少女の片方、黒髪の中に一房だけ赤い髪を持つ少女が答えた。
「棺の浮上を確認したところだゼッ!」
「本当に局長は、あんなモノの……棺の復活を阻止して、この星の支配者になろうとしたのでありますか……」
『今となっては分からないわね……、少なくとも、私達の目的は局長とは違う。こちらの狙いは棺の破壊ではなく、その活用だもの』
念話の相手の女性の言葉に、もう片方の桃色の髪の少女が表情に影を落とした。
「それを……”彼ら”が許してくれるでありましょうか……?」
少女の言葉に、相方の少女も念話の相手も答えない。不意に訪れた重い沈黙に、問いを投げ掛けた少女は耐えきれなくなったかのように口を開いた。
「ヴァネッサ、ミラアルク……私達、これで本当に「エルザッ!」もがッ!?」
途中まで言葉を紡いでいた少女……エルザの口を、相方の少女・ミラアルクが慌てて塞いだ。
「それ以上は思ってても口に出すもんじゃないゼ。連中がどこで聞き耳立ててるか、分かったもんじゃない」
「……申し訳ないであります」
ミラアルクからの言葉に、エルザがシュンと肩を落とす。《《もし》》彼女に犬の耳と尻尾があれば、力無く垂れているだろう落ち込み方だ。いっそ気の毒になるくらいの落ち込み方に、ミラアルクも申し訳ない気持ちになり彼女の肩を抱き寄せる。
「すまねえ。でも、今ウチらが生き延びるには、他に方法が無いんだゼ」
『そうね。そして、未来を掴む為にも……』
念話の女性・ヴァネッサがミラアルクの言葉に続いた。
『私達は果たさなければならない。私達自身の、未来を奪還する為に……』
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