第二章
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「だからな」
「今はなのね」
「焦らないでな」
「トレーニングしていくのね」
「いいな」
こう言ってだった。
末妹のトレーニングの相手をしたが確かにはじめたばかりとわかるレベルだった。だがそれでもだった。
両親、父の道夫柔道八段で警備会社の重役の父と母の由美古武術免許皆伝の母と話した。父は息子に遺伝を受け継がせている顔で母は細面で切れ長の目で長い黒髪を後ろで束ねている。二人共長身で引き締まった体格だ。
「琴子だけれど」
「ああ、じっくりとな」
「トレーニングしてもらってるわ」
両親はすぐに答えた。
「まだ子供だからな」
「今はしっかり食べてね」
「そしてトレーニングは程々でな」
「基礎を徹底させてるわ」
「そうだよな、あとあいつ手の甲に傷あるから」
両親にこのことも話した。
「怪我にもな」
「ああ、組手か」
「あれね」
「あまりな」
「そうだな、実はな」
父が話した。
「あいつがどうしてもっていうからな」
「やったのね」
「俺も相手したよ」
すぐ下の弟で大学生の康夫が言って来た、見れば男兄弟は全員父親似で女兄弟は母親似である。今は卓を囲んでちゃんこを食べている。格闘技はボクシングだ。
「せがむから」
「けれど手加減してるよ」
高校三年の空手三段の二番目の弟秋夫も言ってきた。空手で推薦が決まっている。
「ちゃんとな」
「そこはわかってるから」
高校二年の合気道三段の最初の妹若子の言葉だ。
「私達だって」
「相手は幼稚園児よ」
中学三年の二番目の妹で剣道二段の良子も言う。
「だからね」
「本当に子供だとな」
三番目の弟で中国拳法を習っている中学一年の幹夫も言った。
「そこはちゃんとしいとな」
「そうそう、危ないよ」
小学六年でマーシャルアーツをしている末の弟夏夫の言葉だ。
「僕達もわかってるから」
「それならいいけれどな、格闘技で怪我や傷は絶対あるけれどな」
それでもとだ、彼はちゃんこを食べつつ言った。
「それでもな」
「子供の頃はな」
父は言い切った。
「やっぱりな」
「まずは基礎でな」
「激しいトレーニングもな」
これもというのだ。
「くれぐれもだ」
「しないことだよ」
「高校に入る頃にな」
その頃にというのだ。
「徐々にな」
「トレーニング激しくさせてな」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
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