第3部
サマンオサ
新たな旅路
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素直じゃないユウリも、目の前に差し出されれば手を出すかもしれない。それにユウリの性格なら、王様になりたいがためにゲームに興味を持つ可能性は高いと思い、シーラに話したのだ。
すると、ユウリは無言でシーラの手から木の枝を一本引いた。なんだかんだ言っても嫌いではないようだ。
続いて私も一本引き抜く。枝の端を見ると、一番と書いてあった。
「はい、王様だーれだ!!」
見渡すと、ユウリが無言で王様と書かれた木の枝を掲げている。
「すごーい、ユウリちゃん!!一発目で引き当てた!!」
「……」
せっかく念願の王様を引き当てたのだから、もっと嬉しそうにすればいいのに、なぜかユウリの表情は微妙だ。
「どうしたの、ユウリ?」
「ユウリちゃん、もしかして何を命令すればいいか悩んでる?」
いち早く気づいたシーラがユウリに疑問を投げかける。
「……バカザルがいればいくらでも思い付くんだが、お前ら二人に命令するとなると、何を言えばいいかわからん」
逆にユウリはナギに何を命令するつもりだったのか。私は今この場にいないナギに同情した。
「あらあ、紳士だねぇ。だったらどんなのがいいか教えてあげるよ。ちょっと耳貸して」
その言葉に、ユウリは素直に彼女の口元まで耳を近づけた。その光景を見た私は、無意識に目を逸らした。
「ふざけるな!! そんなこと言えるわけないだろ!!」
「えー? でもこれがこのゲームの真骨頂なんだよ?」
「意味がわからん!!」
そう言うとユウリは顔を真っ赤にしながら、早々に離脱した。いったいどんなことを言われたんだろう。
さすがに二人でやるのは面白くないので、結局ゲームはお開きになってしまった。
「ねえ、シーラ。さっきユウリに何て言ったの?」
「いやあ、男の子なら一度はしてみたいようなことを言ったつもりだったんだけどね〜。全力で拒否されちゃったよ☆」
「??」
それ以上シーラは教えてくれなかった。やがて、関所を探っていたナギが戻ってきた。
「あ、お帰りナギ」
「……オレが必死で探ってた間に、ずいぶんのんびりしてたんだな」
「まーまーナギちん、そんなことより首尾はどう?」
「んー……。なんか知らねえけど、普通に皆通ってた」
「えーとつまり、入国規制されてなかったってこと?」
「ああ」
私の問いに、自信たっぷりに頷くナギ。状況を探るのが得意な彼が言うのだから間違いない。
「なんでかな? もう町の中に魔物がいなくなったとか?」
「さあな。危険がないとわかって解除したのかもしれないし、自由に国を移動できない商人や冒険者の反感を買ったのかもしれん」
ユウリの見解にふと、以前アッサラームで暴動が起きたときのことを思い出す。
「なら別に今通っても大丈夫だよね」
「そうだな。夜になると逆に通れなくなる
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