第一章
[2]次話
現代の食堂
諸星佑志は高校を卒業してから調理の専門学校を経て今は家業の食堂を両親と共に経営している、食堂の傍にオフィス街もあり県内の有名な繁華街にもあって繁盛している。
「戦前からやってるのか」
「そうだよ」
諸星は高校からの友人で今は近くの会社で働いている山本福也に話した、諸星の目は小さく屈託のない顔で黒髪を短くしている。背は一七二位で痩せていて店の服を着ている。山本は一七八位の背で黒髪をスポーツ刈りにしていて面長で優しい顔立ちで眉が太い。引き締まった身体をスーツで覆っている。
「一回空襲で焼けたけどね」
「前の戦争か」
「その後建て直して」
店をというのだ。
「今もここでやってるんだ」
「そうなんだな」
「うん、それで今日は何を食べるのかな」
「カレーにするよ」
山本はカウンターの席の一つに座ってその中にいる諸星に言った。
「そっちにな」
「じゃあ今から出すね」
「頼むな、しかしな」
山本はここでだった。
店の中、結構な数の客がいるそこを見回して言った。のれん書きもある。
「昔の雰囲気ないな」
「現代だね」
「何処かレストランみたいだな」
「十年位前に建て直したからね」
「建物が古くなってか」
「うん、耐震とかでね」
この問題があってというのだ。
「そうしたんだ」
「お金かかったよな」
「まあね、けれど地震とか災害のこと考えたら」
「あるからな、災害は」
「だからね」
それが為にというのだ。
「うちもなんだ」
「そっちはしっかりしたか」
「そうだよ、それでその時にね」
「今みたいな感じにしたか」
「昭和の食堂はね」
「ないか」
「うん、うちも前はそうだったけれど」
諸星は山本が注文したカレーを作りつつ話した。
「それでもね」
「変わったんだな」
「建て直してね、キッチンも新しいのになったし」
「そうなんだな」
「調味料も親父が言うには昔よりもね」
「いいの使ってるんだな」
「同じ会社の同じ調味料でも」
そうであってもというのだ。
「どうも年代でね」
「変わるんだな」
「そうみたいだしね」
それでというのだ。
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