第2話:心の毒
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常を回復する魔法であるレストをかけ、それからピチューとフカマルにリブローをかけて傷を治療した。
(これで……この地域の花の全滅が避けられれば良いけど……)
青年はグートミューティヒの報告を聞いて驚いた。
「倒した!?あの大蛸を!?」
「えぇ。嫌な奴でしたよあいつは」
とは言われても、グートミューティヒを視る限りでは、その様な大それた事をする様には視えない。
「とは言われてもねぇ……」
そこでグートミューティヒは意地悪っぽく言う。
「あー、プリーストは回復魔法しか使えないと思っているでしょう?」
「違うのかい?」
「プリーストは攻撃魔法も使用可能ですよ」
その証拠として、呪文を唱えた。
「エンジェル!」
グートミューティヒが放った光弾が近くに在った岩を破壊する。
「お!?」
これを観た青年は驚きを隠せない。
「どうです」
青年がグートミューティヒに破壊された岩を見て驚いている中、グートミューティヒは青年に進言する。
「そんな事より、例の薬草の宝庫に戻られたらどうです。もうあの嫌な奴はいませんから」
「それはありがたいが、何であんな所に大蛸が出現したんだ?」
その途端、グートミューティヒは真顔になる。
「アイツは、毒を武器にするからです」
「毒を?」
「そうです。だから、せっかく浴びせた毒を完治させるアンチドーテを忌み嫌っていたんだ」
そんな説明に、青年は呆れた。
「……自分勝手な奴だったんですねぇ」
「ええ。嫌な奴でしたよ!」
薬草を採りに行く青年を見送ったグートミューティヒは、青年の視界から消えた途端、罪悪感に押し潰されるかの様に俯き泣き崩れた。
「……言えなかった……本当はポケモンがあいつを倒してくれたって……」
グートミューティヒは本当に言いたかった。ポケモンの大活躍を。
だが、前回のホワイトクロウ討伐での誤解がポケモンの活躍を高らかに言いふらす事を許さなかった。
ポケモンを飼育するグートミューティヒにとっては間違った古い概念だったが、世論や大衆にとってはポケモンもモンスターと同じ危険害獣でしかないし、寧ろポケモンと言う言葉すら知らない人々の方が圧倒的に多い。
故に、グートミューティヒがどれだけポケモンの力を借りても、その事実を人々に伝える事が出来ない。
しかも、モンスターを嫌う者や勇者マドノの様なモンスターを経験値としかみなしていない者と手を組めない以上、ポケモン飼育と大人数旅は両立出来ない。
だから、グートミューティヒはポケモンと共に行った活躍を自分1人の力で行ったと嘘を吐き続けなければいけなかった。
でも、それはポケモンから手柄や名声を横取りしているのではないかと言う罪悪感をグートミューティヒに背負わせる事になる。孤独と戦いながら……
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