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不可能男との約束
勇気の玉砕
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いている。
それは、全員が全員、武蔵総長の方に動いていた。
誰もが理解している。
ホライゾン・アリアダストを救う可能性を持っている人間は葵・トーリだけであるという事を。
馬鹿な事をと思考の裏ではそう考えてしまうが、間違いではない。直感がそう告げているのである。
ならば、止めるべきは武蔵総長一人のみなのである。
そしてそれは当然武蔵の連中も解っている。
だが、理解はあっても力が出ない。五倍も差がある人数差で、逆に良く持ちこたえたと内心では感心している。
だが、ここまでだ。
神道の代演でも、限界はある。後は時間の問題だと笑みを浮かべた時に空中から声が聞こえた。








「オメェら……今でもホライゾンを救いたいって思ってくれてるか!?」

空中からの叫びに、地上で土に汚れたり、戦闘で服が破れたりしていたり、武器を振るっていたり、盾を構えていたりしている学生は全員その叫びに反応した。

「当たり前だ! 極東の人間は……目の前で理不尽であろうが、なかろうが、死を直前にした人間を助けたいと思う!」

それに

「馬鹿の副長も言っていたように……俺達は目の前で生を諦めかけている人間を前に、ならば、諦めればいいなんてお人好しな台詞を吐くような賢い人間ではないんだよ!」

他の皆もそうだそうだと叫んでくれている。
その光景を見て、トーリはそっかと呟いて、そのまま空いている両手を使って、表示枠を開ける。
相手は

「浅間───俺の契約をやっぱ、認可してくれよ」

『……』

帰ってくる反応は沈黙。
でも、それは浅間だけではなく、何時もの馬鹿連中全員が違う反応だが、内心ではそういう反応をしてくれていると自惚れのような理解をする。
現にネイトとペルソナ君とアデーレはこちらに視線を向けているし、直政とノリキは敢えてこちらを見ていないし、点蔵は……うん……点蔵は……いっか。
だから、どうしようかなぁ〜って思ってると違う表示枠が開かれた。

『よう馬鹿』

「何だよぉー親友。オメェ……いきなりの台詞が馬鹿ってどういう事だよこの馬鹿野郎!」

『後で鏡を見ろ───でだお前。智の代わりに聞いてやるが……まさか傷ついている馬鹿どもを見て、力にならなきゃ……なんて事を考えて契約を迫っているだなんて言わねーだろうなぁ? あん?』

自分の親友の物言いに内心苦笑しながらちげーよと答える。

「俺は何も出来ねーから……周りの皆を頼りにしてるだけだ。だから、俺が何かを成すには誰かの手を借りなきゃいけないわけだけど……俺が何も出来ねーって事じゃねーだろ?」

『あっそ。じゃあ、好きにしろ』

そう言うと直ぐに表示枠を消していった。
その速さに浅間は何か言いたげだったけど、俺は親友がそんな風に
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