勇気の玉砕
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イノケンティウス総長はこの状況に、驚きはしていたが、プライドに賭けて焦りだけは表に出さなかった。
武蔵の副長の実力を見誤ったのは確かだ。
そこは自分の責任であるし、失敗でもある。認めるし、否定などしない。
自分の慢心が招き寄せた事態である。甘んじて受けるし、反省はしよう。
だが───後悔は一切ない。
相手が真正面から向かってきた。なのに、自分はそれを躱して、攻撃? 許せるはずがない。
しかも、相手は聖連から何も出来ないが故に不可能男という字名を貰っている馬鹿なのに、教皇総長の俺が背を向ける? あっていいわけがない。
子供が大人に精一杯背伸びをしているのに、自分はそれに負けないよう同じく背伸びをして引き離そうとする大人がどこにいる。
だからと言って
「じゃあ、おっさん。ホライゾンの所に行かせてもらうぜ」
このまま相手を見逃すわけにはいかなかった。
一瞬の目配せと共に、傍らのガリレオが動く。
「天動───」
説、と言って発動までの残り二、三秒という短い時間で、しかし、特務クラスが動く時間には十分だった。
じゃらり、と鎖の音と共に鎖が武蔵総長の腹に巻きついたかと思ったら、何時の間に浮き上がっていた。
武蔵の第五特務の神格武装と気づいた時には、視界に闇が降りた。
思った瞬間に視界を広げてみると、第六特務の武神の拳であることが判明した。
「洒落さいわ、小僧共!」
即座に前に出て、目の前の空間に術式譜を防盾として作り、武神の拳を防ぐ。
目の前にある鉄拳を見ながら、上にいる筈の武蔵総長を見る。
天動説は発動していない。
あれは発動するには相手の存在の認識をまず第一とするので、途中に武神の拳がガリレオの意識を逸らした所為で認識が途切れてしまったのである。
だから、代わりというわけではないのだが、武蔵総長がどこまで飛んでいるのかと確認をしようとしただけなのだが
「あ〜〜〜〜! これが、まさかの剛速球か〜〜〜ん〜〜〜ら〜〜ん〜〜しゃ!!」
遂に頭がイッタか、と冷静に頭の中で思いつつ、武蔵連中が表示枠を開いて、何か連絡を取り合っていたので、何かの作戦かと思い、何とか真面目思考を取り戻してその表示枠を見る。
『見た目は楽しそうに見えるんですけど、小生からしたらただの恐怖の心臓ストッパーゲームに思えるんですが……』
『本人楽しそうだからいいんじゃないんですか? あ。この狂行に関しては浅間神社は関係ないので、絶対に神社の風評を貶めないでくださいね?』
『……! 皆! 気を付けるのよ!? この巨乳巫女! 何の躊躇いもなく弓を味方に向けているから! ふふふ、恐ろしいわ浅間。でも、その潔さはもてる女の秘訣よ! アグレッシブ巫女なんてジャンル的に最強じゃない!?』
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