第3話 感謝とはじまり
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ません。ゾルディック家の者なんですが、自首しに来ました」と言い放った。だが当然そんな話は信じられるわけもなく、笑われたので、全力で殺気を撒き散らし、その後多少のパニックを経てなんだかんだで今に至る。
「えっと、俺って逮捕されるんですか?」
クルトはとりあえず一番気になっている事を聞いた。
今までクルトは、家の仕来りとはいえ、かなりの数の人を殺してきた。殺してきたのは全員が凶悪な犯罪者や、裏で違法な事をしている政治家や医者等といった者達ばかりだったが、それでも殺人は殺人だ。
「それは実をいうと無理なんじゃよ。普通の暗殺者なら逮捕できるんじゃが、ゾルディック家となるとのう…」
ゾルディック家の理念の一つとして、「金を積まれればどんな依頼を受ける」としているが、その依頼料はとんでもなく、最低でも二十億は下らない。
そしてそれ以上に、ゾルディック家が暮らしている島は、現在世界各国の国の圧力によって地図から姿を消している。
ゾルディック家の圧倒的な戦闘力に目を付けた世界中の政府がその力を自分達の為だけに使おうと考えた為だ。その結果、現在ゾルディック家に依頼を出来るのは、各国の政府と、極限られた秘密組織ぐらいなのである。
そんなゾルディック家の子息、しかも歴代最高の才能を持つといわれる存在を捕まえ、その活動、成長を阻害する事など依頼主達が黙っている訳がない。
「…改めて実感したけどとんでもない家に産まれちゃったな俺」
「かかか!そうじゃのう!」
クルトに言葉におかしそうに笑うレズリーは、直後に表情を「おかしそう」から、「楽しい事を思いついた」ものに変えた。
その表情の変化を敏感に感じ取ったクルトは、嫌な予感が背中を伝う。
祖父であるゼノの時もそうだったが、こういう掴み所のない好々爺が何かを企むと碌な事がない事を、十歳ながらも経験でクルトは知っていた。
「のうクルト。お主、武偵になってみんか?」
その言葉は魅力的…というかクルトには願ってもないものだった。
アリアと出会い、自らの思いに気付いたクルトは、既に武偵になりたいと思っていたからだ。
だからクルトはこの提案に即座に首を縦に振った。
「そうか。なら日本に行ってある人物に教えを請え」
「ある人物…ですか?」
「ああ、その男は元帝国海軍少尉で零戦のパイロット。そしてそのゼロ戦が撃墜された後、旧日本領のブレスク島に泳いで辿りつき、その翌々日に現れた米陸軍300人を1人で食い止めた伝説を持ち、アメリカからは今なお警戒され、〈ダイハード〉と呼ばれておる。名を―――」
―――遠山鐵(まがね)。
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