第3話 感謝とはじまり
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、ゾルディック家に必要なのは殺しの技術だけ。それ以外は全て不要。それが教育理念だ。だからクルトは無意識下に恐れていた。殺し屋を辞めれば自分の居場所は何処にもなくなってしまう、と。
(けど、それは違ってたみたいだな。居場所は与えられるものじゃない。自分で掴み取るもんだ。それに、自由に生きられない人生なんて死んでるも同じだ)
短い間だが、アリアの気丈にも、真っ直ぐに正義に生きる姿を見て、理子の自由を掴み取ろうとする覚悟に触れて、クルトは気付いた。傍からみればなんの事はない小さな触れあいの中で、クルトは大切な事に気づけたのだ。
「ほ、ほんとに暗殺者辞めるのね?」
確認するようにアリアが尋ねる。
「ああ、今日をもって俺の殺し屋家業は終了だ。ま、色々面倒な事はこれからも起きるだろうが何とかするさ」
「そ。それなら―――」
「その前に礼を言わせてくれ」
言うやいなやクルトは立ち上がった。
「ありがとうアリア。お前のおかげで、俺はやっと俺を始められそうだ」
「な、なによいきなり。は、恥ずかしいじゃない!」
顔を真っ赤にしてそういうアリアを見て、クルトは思わず声に出して笑う。
「あはは、そんな顔すると思った」
「んなっ!!?あたしの事からかったの!?やっぱあんたは逮捕よ逮捕!!というか風穴よ風穴ッ!!」
ギャーギャー叫ぶアリアを見ながら、クルトは楽しそうに笑う。
その顔はとても楽しそうで、そしてとても嬉しそうだった。
* * *
「まさかお主があのゾルディック家の者とはなあ…」
老人がそう言う。
老人の名前はレズリー=ウィリス。ロンドン武偵局の局員だ。齢六十を超えているが、未だ現役バリバリの武偵で、ランクはS。しかしその戦闘能力はSランク数人が束になっても敵わない程で、ロンドン武偵局ではかなり尊敬されている人物である。
そんな凄腕のレズリーの前に座っている少年…というかクルトは、レズリーを観察し、即座にある確信を抱く。
(このジジィ念能力者か)
まさかゾルディック家以外のまともな念能力者にこんなにもすぐに出会えるとは思ってなかったクルトは、少々驚いた。
(まあ、シャーロックの奴も恐らく使えるんだろうけど、あの時は確信する程じゃなかったしな)
ところで、何故クルトがこんな所にいるのかと言うと、あの後、アリアに暗殺者を辞める宣言をした後、ケジメの一つとして、自首し、今までの罪を償うのはどうかという提案をされた。
それを二つ返事で了承したクルトは、早速警察に行こうとしたが、ここにきて自分が世界最強の暗殺一家であるゾルディック家である事に気づき、急遽ロンドン武偵局に向かった。
そして受付のお姉さんに、「すい
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