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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
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でも、少年は勇気を振り絞りました。
心を奮い立たせ、すくむ足を無理矢理動かし

ここぞと言う時に隠し持っていたナイフをかまえ、彼はいちばん偉そうな白いスーツを着た悪い奴目掛けて真っ直ぐ走り出したのです。

慢心しきっていた悪者の腰に、ナイフがぞぶりと突き刺さりました。

振り返る悪者。
段々と赤く染まるスーツを見て、悪者は何が起きたのか理解し始めます。

痛みのあまり倒れ、じたばたともがき始める悪者。

やった。
やったんだ。
悪者を倒しました。
少年は鈴鹿お姉ちゃんを守ったのです。

これでおしまい。
かつての平穏を取り戻し、2人は今度こそ幸せに暮らせます。


そう、思ってました。

この崩壊世界はやはり、彼には優しくしてくれないようです。

「……?」

パン、という空気を裂く音。
後ろから少し押されたような感覚を覚え、何が起きたのだろうと思えば、突然倒れてしまいます。

身体が動きません。
胸がものすごく痛いです。
自分の周りが血で真っ赤になります。

少年は撃たれました。
後ろから一発。
それから頭を踏みつけられるけど、不思議と痛くありません。
鈴鹿お姉ちゃんが必死に何かを叫んでいるのに、よく聞こえません。
感覚が無くなっていく。それどころか寒くなってきました。
目の前もだんだん照明が薄くなっていくように真っ暗になっていきます。


最後に少年が見た光景は、
自分と同じように鉄砲で撃たれた鈴鹿お姉ちゃんの姿でした。


少年は幼いながらも悟りました。

ああ、これが死ぬ≠チてことなんだと。
天国に行けるかな?
天国には、おじいちゃんもおばあちゃんも、お父さんもお母さんも、お兄ちゃんだって待っているのかな?

きっと大丈夫だ。
みんないい人だったし、きっとレジスタンスのみんなも天国にいます。

それに、
鈴鹿お姉ちゃんだって、絶対一緒に来てくれるでしょう。

少年はそう思い、ゆっくりと目を閉じました。





しかし何度も言うように、

この崩壊世界は、

少年に優しくなんてしないのです。





?


「…!」

目が覚めたのは、知らない場所でした。

しかし身体は動きません。
よく見たら紐でぐるぐる巻きにされ、椅子に縛り付けられてしまっています。

辺りを見渡すと、こちらをにやにやしながら見ているあの悪者、葛城財団の人達がいました。

「お、目ェ覚ましたで。」
「きんもっ…。」

ヘラヘラと笑いながら自分を見ている彼ら。
それから少し離れた場所には

「まったくもうダーリンってばぁ?テクヤバすぎ…私もう5回もイッてるし…?」
「へへっ、感じやすいクソ
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