第44話 張飛
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私、麗羽、揚羽の3人は張飛の家があるという場所に向かっています。
彼女の家は今私達が昇っている山の中腹にあるとのことです。
先導役は昨日あった中年の男です。
この男の名前は李雪といいます。
李雪の話によると、張飛には両親以外に身寄りがなく、幼い身で1人暮らしているそうです。
その話を聞かされた私達は彼女のことをどうするか昨日のうちに話し合いました。
概ね私の考えた通り麗羽の武官として、今後頑張ってもらうことになっています。
麗羽にはこの件で注文を受けました。
「正宗様、昨日約束のこと重々お忘れなく」
麗羽が私に念を押してきました。
「分かっている。努力はする。私も別に張飛を痛めつけるのが目的じゃない。だけど、彼女は見た目が子供でも一般の大人以上の力を持っている。現に李雪達は彼女1人に歯が立たなかった位だ。怪我位は覚悟して置いてくれ」
「麗羽殿、正宗様を信じられないのですか?張飛であれ誰であれ、正宗様が子供に酷い行いをするわけはないでしょう。あくまで、正宗様は可能性を言っているだけです。」
揚羽は私をフォローするように麗羽に言いました。
原作を知っている私は張飛の強さを理解しています。
手加減をしすぎると私が逆に怪我をする可能性があります。
私だって子供を怪我させるのは気持ちの良いものではないです。
「私はその現場を見ていませんわ!李雪さんが嘘を言っている可能性もありますわ」
麗羽は洛陽で張飛の年齢位の子供達とよく遊んでいました。
彼女の中では張飛もその子供達も変わらなく見えるのでしょう。
私達は食料を盗んで逃げて行く姿しか見ていないです。
麗羽の反応は当然です。
麗羽と揚羽には張飛がどういった存在か話しています。
それでも麗羽には納得できないようです。
だから、麗羽は私に怪我をさせるような乱暴なことは極力しないよう頼んできました。
私も話し合いで解決できるならそうするつもりです。
「お二人とも俺のことで喧嘩しないでください。俺も本気で張飛を痛めつけたいと思っている訳じゃないです。あいつの身の上は十分過ぎるほど知っています。そりゃ、腹は立ちますが、どうにか立ち直って欲しいと思っています。街のみんなもあいつの親のことは知っているんです。今のままじゃ、その内本当の賊になって、役人の世話になるかもしれないです。正直、そんなことになったら寝覚めが悪いです」
李雪は私と麗羽の間に入ってくると若干暗い表情をして言いました。
麗羽も李雪の態度にそれ以上何も言いませんでした。
張飛の家に着くと、張飛が家の前で蛇矛を片手に立っていました。
「お前等、何者なのだ!鈴々の家に何のようなのだ!」
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