第一幕その八
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「それこそあちこちに」
「そうした場所には必ずボディーソープやシャンプーの容器が出る草があって」
「何処でも身体を奇麗に出来るわね」
「そうですが」
カルロスは朝ご飯のトーストを食べつつ言いました。
「ドロシーさんはカンザスにおられた時は」
「お風呂ね」
「お家にお風呂なかったですね」
「大きな桶があったから」
ドロシーはカルロスにこう答えました。
「そこに暖かい時にお湯を沸かしてね」
「そこに入れるんですね」
「沢山ね。そうしてね」
そのうえでというのです。
「その中に入って」
「身体を奇麗にするんですね」
「お水はお家の近くの井戸から汲んでね」
そうしてというのです。
「沢山用意して」
「そのお水を沸かして」
「暑いともうそのままだったわ」
ドロシーはベーコンを食べつつカルロスに答えました、今朝のメニューはトーストに焼いたベーコンにソーセージにスクランブルエッグそしてトマトとレタスのサラダです。ジャムが入ったヨーグルトもあります。
「お水でね」
「水浴びですね」
「そうしていたわ」
「そうですか」
「そしてね」
ドロシーはさらに言いました。
「かなり大変なお仕事だったわ」
「井戸からお水を汲んで」
「温めてお湯にしてね」
「水槽の中に入れていって」
「そう、それでお外で順番に入っていたけれど」
「大変だったんですね」
「水道はなくて」
そしてというのです。
「その水道からお湯も出なかったから」
「今みたいに」
「お風呂を用意するだけでね」
「大変なお仕事だったんですね」
「カンザスにいた時はね」
ドロシーはカルロスに自分のトーストに苺ジャムを塗りつつお話します。
「そうだったのよ」
「そんな風だったんですね」
「ええ、けれど今はね」
「水道があって」
「そこからお湯が出て」
そうしていてというのです。
「すぐに入られるわね」
「はい、お風呂に」
「その分ね」
「便利ですね」
「そして毎日でも入られるから」
そのお風呂にというのです。
「そのことも幸せよ」
「幸せですか」
「毎日温かいお風呂が入られる」
「そのことも幸せですね」
「そうでしょ、けれどカンザスにいた時もね」
カルロスに遠いその頃のことを思い出しつつお話するのでした。
「今思うとね」
「幸せでしたか」
「いつもおばさんとおじさんそれにトトと一緒でね」
微笑んで言うのでした。
「お金に困ってばかりで自然のことで振り回されることもあったけれど」
「それでもですか」
「あちらにいた頃もね」
懐かしむ、そんなお顔での言葉でした。
「今思うとね」
「幸せでしたか」
「凄くね」
明るい笑顔で言うのでした、そしてです。
ドロシー
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