第一章
[2]次話
井戸水は怖い
井戸を見てだ、平野光一四五位の背で童顔で茶色の髪の毛をロングにしている中学生の彼女は驚いて言った。
「井戸なんてはじめて見たわ」
「もうここも水道だからな」
曾祖父の栗林義信は笑って応えた、やや腰が曲がった小柄な老人である。もう歳は九十になっている。
「だからな」
「井戸なんてなの」
「光はうちにきたのはじめてだったな」
「うん」
光はその通りだと答えた。
「今ね」
「それじゃあ井戸もね」
「うちなんてね」
光は自分が暮らしている7新潟市のことを話した。
「もう皆ね」
「水道だな」
「上下ね」
「今の日本は何処もそうだな」
「けれど昔は」
「何処も井戸でな」
「それでひいお祖父ちゃんのお家には」
「もう使ってないぞ」
「使ってないの」
「だから水道通ってるって言ったじゃないか」
こう孫に返した。
「もう上下な」
「通ってるの」
「便利だな、昭和にな」
この頃にというのだ。
「通ったよ」
「そうなのね」
「だから井戸はな」
「もう使ってないのね」
「まだ水出るけれどな」
それでもというのだ。
「使ってないぞ」
「使えるの」
「ああ、けれど飲むんじゃないぞ」
曾祖父は曾孫に注意した。
「飲むなら水道のお水かコンビニで買え」
「ここでもコンビニあるのね」
「田舎でもな、だからな」
「井戸水飲んだら駄目ね」
「ああ、いいな」
こう曾孫に言った、だが。
光としては興味が出た、井戸があると聞いて一度井戸水を飲みたいと思った。それでこっそりとだった。
井戸から水を出して飲もうとしたがここでだった。
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