暁 〜小説投稿サイト〜
とある銀河の物語
005 コーヒーミル
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本部エリアの一部のはずだが、なぜこんなに立派な住宅街があるんだ?
きれいな公園もあるし・・・・でも、確かこのあたりのはずなんだが。
ここかな?うん、住所は合ってるな。
そこそこ大きな、なかなかきれいな家じゃない。
教官は何だって、こんなところに俺を来させたんだろ?
ま、いいか。ここに来て、ここの人の指示を仰げとか言ってたな。
呼び鈴を押した。
ほどなく、ドアが開いた。
「よう、もうそろそろ来るころだと思ったよ。」
ニコラ・テスラ・ウッド教授だった。
「へ?」
「そんな馬鹿面さらしてないで、早くあがれ。」
「は、いや、その・・・」
「ウォルフにここにくるように言われたんだろ?」
「は、はい。」
「後のことは俺から聞けと言われたんだろ?」
「は、はい。」
「とにかく入れ。」
「は、はい。」

俺はまだ未成年だから、酒はあまり飲まないようにしている。
そのせいでもないだろうが、ウッド教授が俺の目の前でコーヒーを入れてくれた。
「とりあえず、くつろいでいてくれ。」
そういって台所に立ち、フライパンでコーヒー豆を煎りはじめたのだ。
十五分くらい、煎っていただろうか、和紙を引いた底の浅いざるに煎りたてのコーヒー豆を落とした。
「少し冷ましてから、うまいコーヒーを入れてやろう。」
棚から、金属のハンドルの付いた木の箱を持ってきた。
いや、木の箱にほんの小さな鍋みたいなものが乗っていて、そのふたのてっぺんに取っ手が付いている。
よく見ると小さな鍋のふたは動かせるようになっていて、まわすと隠れていた四角い穴と言うか、窓が出てくる。
そこからさっき煎ったコーヒー豆を中に入れた。ふたを回して窓を隠す。
左手で木の箱を押さえ、右手で取っ手を回し始めた。ガリガリガリガリ・・・。
木の箱の部分にはこれまた小さな引き出しが付いていた。
「さてさて。」
引き出しを引いた。粉になったコーヒーが入っていた。
コーヒーの香りが漂い出てくる。
「いいにおいですね。」
お世辞でなく、そう言うと、
「ふむ、まだまだ。」
と、ウッド教授はいい、ドリッパーにフィルターを入れ、挽いたコーヒーの粉を落とす。
シンプルなコーヒーセットだ。
ガラスのコーヒーポットとその上に乗っているドリッパー。お湯を注ぐための、口が細くて長いポット。
珍しいのは、さっきのコーヒーグラインダーくらいだ。
ウッド教授がフィルターのコーヒーの粉にお湯を少しずつ垂らし始めた。
モコモコッと、粉の表面がマッシュルーム状に盛り上がる。
「おお、すごいですね。こんな風になるんだ。」
「コーヒーが新鮮で、お湯の温度が適切だと、こんな感じになる。香りも段違いだろう?」
「はい。」
実際、部屋中に香りが行き渡っている感じだ。悪くない。
時間をかけて、ゆっ
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