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とある銀河の物語
004 試験終了
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ってウインクする。
「それに、教授をだましてうまいコーヒーが飲めなくなったらどうする?俺にとっては銀河の問題よりもそっちのほうがずっと問題なんだ。」
「ふん、その説明は、わかりやすいな。」
にやっと笑い、誰にともなく片手を挙げ、出て行った。

「次は戦術予報に関してです。」
「ああ、あれは、ちょっと納得できないな。説明してくれ。」
ウォルフがいなくなると、話しやすくなる。いいことなのか、何なのか・・・。
「はい、実際のところ、ナップがお二人を救出した時点で敵には自動的にそれこそ光の速さでその報告が行くはずですから、あのときの戦術予報は博士の救出作戦には使えないものでした。」
「・・・それで?」
「今後のことを、考えたのです。」
「つまり、アメリアを取り戻した後、どうなるか、どうするか、という観点だな?」
「はい・・・出来れば、ウォルフとも、これくらい冷静に話し合ってくださればいいのですが。」
マティルダが吹き出した。「本当に、すみません。」
「何でお前が謝るんだ、マティルダ?」
アメリアも吹き出した。やれやれ・・・。
「・・・皆さんには安全な場所に移動していただきたいと思っています。つまり、『船』に移っていただこうかと思っているのです。」
「『船』・・・か。」
ウッド教授がベッドに座りなおす。
戦略的な一大拠点であり、移動する大都市であり、ウォルフとクリスが発見し、銀河の勢力図を変える一大要因となった、『船』。
「アメリア博士には主席研究員として。しばらくは“客員”が付きますが。」
多少の謝罪をこめて、クリスがアメリア博士に向かって会釈する。アメリア博士は、ただ肩をすくめただけだった。
「そしてウッド教授、あなたは増員予定のあった戦術予報士としてお招きできると思うんです。」
「だが、あそこにもアカデミーはあるだろう?」
「アカデミーはありますが、ポストの空きはありません。」
「ま、そう都合よくは行かないか・・・」
「重ねて申し上げますが、敵が狙っているのは、アメリア博士です。ですから私たちは、アメリア博士とそのご家族を安全な場所に移したい。そこでウッド教授?」
「・・ん?」
「あなたはアメリア博士のご家族だからというだけで、移動されたいですか?それとも戦術予報士として必要なので、『船』に呼ばれたいですか?」
「おれは歴史の教師として呼ばれたいんだよ。・・・まったく。」
ほかに選択肢がないのは、充分にわかっていた。だが、歴史を学ぶものとして、恩師の足元にも及ばないまま断念するのはあまりにも残念なことに思えた。
「この人の作った戦術予報は、実際のところどうだったの?」
もっともな質問をアメリアがした。
「ウォルフ曰く、“初めてなんだから、こんなもんだろ”だそうです。」
「何だ、その程度か。・・・
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