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とある銀河の物語
004 試験終了
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、いろいろと複雑なものがあってね、マティルダ。」
割り込むように、クリスが話し始めた。
「アメリア博士の重要性を考えたら、あまり手荒なことはしてこないとも考えられたし、私たちも現状で対処できる方法を考え始めていたから。」
「だけどな、マティルダ、一番のポイントは君だったんだ。君に、ごく普通の生活をしてもらいたいと、二人は願ったんだよ。」
四人の顔が一斉にウォルフの方を向く。それぞれの表情で。
私には、言えなかった。とアメリア。
お前がそれを言うのか。とウッド。
やっぱり、そうですか。とマティルダ。
言うと思った。とクリス。
「だから守るほうにもいろいろと制約が出来てな。でも、守り抜くつもりだった。誘拐を阻止できると思っていた。その準備が整う前に、やられた。うかつだったよ。・・・だがね、大げさな意味ではなく、銀河に影響を与えるアメリア博士とその連れ合いの、たった一つの願いが、娘のごく普通の生活だったんだ。信じられるかい、マティルダ?」
マティルダが再びベットから立ち上がり、ウォルフの前に立つ。深々とお辞儀をした。
「本当のことを言ってくださって、ありがとう。ウォルフさん。感謝いたします。」
泣くかな、と思ったが、違った。微笑んだ。
「私、お父さんとお母さんの次に、ウォルフさんのことが、好きになりました。」
「それは残念だな、俺は年上が好みなんだ。」
「そのせりふ、今日二回目です。」
また、微笑んだ。いい笑顔をする。母親ゆずりだな。
「だが年下が嫌いというわけでもない。コーヒーを楽しみにしているよ。・・・クリス、後は頼む。」
そういって、残りのコーヒーを飲み干し、立ち上がる。
「最大の目的は達したしな。」
空のコーヒーカップを一度掲げてからテーブルに置いた。
キャビンを出て行こうとするウォルフの手をウッド教授がつかむ。
「おい、ひとつだけ聞かせろ。」
「ん?ああ、クリスは俺より年上だ。」
「ばかやろう・・・・企んでは、いないよな?」
「・・・・・・・・・」
「俺たちを納得させるためにわざと誘拐させ、助けて自分たちの都合のいいように使う・・・」
「・・・・・・・・・」
「どうなんだ?」
「そういう話が、上のほうであったのは事実らしい。」
「そう、なのか・・・」
「だから俺とクリスは急いだ。馬鹿なことになる前にすっきりさせておきたかったからな。だが、敵はもっと早かった。そういった意味では、俺たちの力が足りなかったからということになるか。」
「うそじゃ、ないな?」
言葉を押し出すように、繰り出した。言いたくないのだ、本当は、こんなこと。
「教授・・・」
改めて教授と、博士とマティルダに向き直った。
「教授をだますのは簡単だが、博士とマティルダをだませるほどの演技派じゃねぇよ。」
マティルダに向か
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