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とある銀河の物語
004 試験終了
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います。」
「よし・・・すごいな、マティルダ、本当にもう、子供ではないな。」
初めて、ウォルフがマティルダをファースト・ネームで呼んだ。
「いえ、そんな・・・でも、ありがとうございます。」
心持ち顔が紅潮して、実際よりずいぶんと大人びて見える。本当に大人の仲間入りをしたような気がした。
「・・まぁ、その、なんだ・・・」
なぜか顔を紅くした父親が言いよどんでいるうちに、母親は娘の側に行き、肩を抱いてベットに座りなおした。
「で、コーヒーはまだかね、教授?」
「・・・もう少し、ひたらせろよなぁ・・・」
ぶつぶつつぶやきながら、コーヒーを人数分注ぎ始めた。

「もうわかってると思いますが、こうなるのは時間の問題でした。ですから、誘拐されるということを前提とした計画も立てていました。」
話し自体は、クリスが進めた。
「誘拐されるのが、わかっていたのですか?では、どうして・・・」
阻止できなかったのか?マティルダの疑問も、もっともだ。
「それは、だ、マティルダ、いろいろと事情があって、だな・・・」
どうも、今日の俺は言いよどんでばかりいる。そう思いながら自分の妻を見た。
「実はね、マティルダ、以前にウォルフから話があったのよ。危険だって。それで、安全な場所に移動してほしいといわれてたの。」
「そ、そうなんだ、マティルダ。言われては、いたんだ・・・」
冷や汗かきまくり、だ。畜生、なんて説明すりゃ、いいんだ?
「教授・・・」
椅子にもたれ掛ってリラックスしながらコーヒーを飲んでいるウォルフがのんびりと言う。
「ここは、ひとつ、女性たちに任せよう・・・しかし、同じコーヒーでも、教授が入れるとこんなに違ってくるんだよなぁ・・・」
「し、しかしだな、ウォルフ・・・」
「もう、お父さんはいいから・・・今度は私の入れたコーヒーを召し上がってください。ウォルフさん。」
「ほほう・・・俺はコーヒーには、ちょいとばかり、うるさいぜ?」
いたずらっぽく、言い返す。
「俺が今のところ、何が何でも飲みたいと思うコーヒーは、君のお父さんの入れたコーヒーくらいだからな。」
「そのお父さんの飲むコーヒーは、最近は私が淹れてます。」
マティルダも、負けていない。
「ふむ、それは楽しみだ。次に君たちの住居にお邪魔したときに、お願いしよう。」
「はい、喜んで・・・・で、お母さん、続きは?」
知らないとはいえ、ほとんど伝説と化した人物“ウォルフ・ザ・シルバー”と娘の会話をハラハラして聞いていたアメリアは、いきなり呼ばれてついどもってしまった。
「え、あ、その、それで、ふ、二人で話し合って、お断りしたのよ。あの家は、お父さんのご両親の形見みたいなものだったし、お父さんと私の思い出がいっぱいあって、手放したくなかったの・・・」
「その辺の事情は
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