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とある銀河の物語
004 試験終了
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ではいない。
切り替えが早いのは、ナップのいいところだろう。
「ああ、すまんな、心配かけて。」
ベッドの上から、あまり力のない笑顔でランが答えた。
カルシウム治療と、代謝促進剤の注射のおかげで結構な痛みがアバラと左腕にある。
優しく、ゆっくり治したいか、痛くても早く治したいか聞かれ、痛い方を選んだのだ。
「しかしなぁ、ランが怪我して帰ってくるなんて思ってもみなかったぞ。」
ベッドの脇にある椅子に座った。ランがほとんど手をつけていない夕食のプレートからパックジュースを取る。
「ああ、すまんな・・・」
「ま、それでもみんな合格したんだし、これからは一緒のチームだな。」
「ああ・・・」
じゅるじゅるとパックジュースをすすりながら、顔をしかめる。
「お前らしくないぞ、元気出せよ。教官に認められたエリートなんだからよ。」
「ああ、すまん・・・ちょっと、ドアを閉めてくれないか?」
唐突に、話したいと思った。
「ん?ああ」
なんとなく、いつもと感じが違うと思ったのか、ナップも素直に従った。
「おまえ、カトレア星系って、知っているか?」
「・・・・名前だけはな。」
辺境星域の、さらに辺境に位置する星系だ。
「だろうな・・・あまり知られていないが、とても古い、歴史のある星系でな、文化とか、思想とか、いくつかの技術もだが、独特のものを培ってきたところだ。」
「ふーん。」
「例えばだ、あそこにはあまり成文化された法律がないんだな。」
「・・・・なんか、危ないところのようだな。」
「法律がまったくないわけではないんだ。警察だってあるし、裁判所だってある。無法地帯じゃあ、全然ない。逆に犯罪なんかは他の星系よりも少ないくらいじゃないかな。」
「うーん、法律もなく、どうやって管理してるんだ?」
「大本は、なんと言ったらいいのかな、人間関係の中で慣習として理解されている“義務”だ。・・・そう、法律の代わりにいろいろと“義務”によって縛られている。」
「義務っつったって、立場が違えば義務も違うだろうし、事情によっても変わるだろう。よくそんなので国が成り立つなぁ。」
わけがわからんという風に、ナップが首を振った。
「そうだな、だから他の星系から来てカトレアに住み着くような人はほとんどいない。生活の仕方が理解できないんだろうな。」
肩をすくめようとして痛みに顔をしかめた。
「あと、“言葉”にも縛られる。」
「嘘がつけない、ということかい?」
「そういう見方もあるが、例えば、カトレアでは契約書を書かない。口約束が正式な契約なんだ。言葉には魂がこもるから。」
「・・・・なんだか、すごいところだな。」
「そうかもな。カトレアの社会の序列というやつが一応あるんだが、それも言葉による”誓い“で形成され、おおむねその序列に従って”義務“が
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