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とある銀河の物語
004 試験終了
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っけに取られている俺にかまわず、教官は続ける。
「“キャッツ”の母艦は『船』になる。何事もなければ数日中にドック入りできるだろう。それまでに、十三歳の娘くらい、ちゃんと扱えるようになっておけ。」
「はぁ。」
「狭い艦内だ。ドック入りするまでになんども顔を合わせるぞ。」
「はぁ、でも私は年上が好みなのです。」
「なんだ、おまえだったのか。」
「・・・なにがでしょう?」
「・・・まぁ、いい。ドック入りしたら、ここに行け。行って、後はそこにいるものの指示に従え。」
引き出しから紙を取り出し、ナップに渡す。
「以上だ、後は好きなだけ寝てかまわんぞ。」
賢明にも、何も言い返さずに敬礼した。

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「どうかね、新しい“愛機”の感触は?」
コクピットに座り、コーヒーをすするリリアに、バルロスは声をかけた。
「それとも“愛艦”と言うべきなのかな、この大きさでは。」
コ・パイの席に座る。航行中はここがバルロスの席になる。
「そうね、いいわ、新鮮で。今まで高速戦闘機ばかりだったから。」
シートをを可動式にして、バルロスのほうに向き直った。こうしてみると、華奢に見えるほど小さい。
「あれはヒット・アンド・アゥエイが主で、迫力はあったしそれが好きで乗ってたんだけど、使い勝手はこちらのほうがずっといいわね。性に合っているかも。」
「うん、だからスカウトされたんじゃないかな?きっとウォルフ教官の眼力だろう。」
「まさか、原隊の部隊長の推薦よ。キャンプ側からの要望に応じての、ね。ご指名ではないわ。」
「そう、なのか。」
「そう、なのよ。」
微笑を交し合う。
「心配なさらないで。たかが曹長ごときが、などとは夢にも思っていませんから。元大尉殿。」
リリアは入り口を確認し、誰もいないことを確かめた。
「いえ、例の件がなければ、今頃は少佐か中佐でしょうか?」
「現実は曹長だよ、あくまでも。・・・しかし、知っているとは思わなかった。」
多少緊張が解けた様子で、バルロスが言う。
「曹長でいいのさ、三日間とは言え中隊の指揮も取れたことだし、あっちへの未練は、もうないよ。」
「見事な指揮を取られたそうですね。ですが、どうやって?」
立場のことを言っているのだろう。命令とはいえ、キャンプの最終試験で、しかも曹長が中隊の指揮を取るなんて、異例中の異例で、ナップのコード・ネームどころではない。
「副隊長がね、私のことを知っている男だった。能力的には副隊長どまりの男なんだが、義理堅く、面倒見のいい男でね。彼が私の命令を復唱すると、誰も逆らわなかった。」
ああ、とリリアが頷く。
「偶然とは思えない配属だったが、終わってから彼が
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