004 試験終了
[11/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
てるんだろ?」
「よくご存知ですね。・・・というか、必要としていないというか・・・」
「そうだろう、な。そしてそれは将来あいつの足かせになるかもしれない。」
「・・・それは戦術というより、戦略の予報ですね。」
「そうだ。戦略的にそうならないように、あいつの戦術を固めてやる。・・・出来るかどうかはわからないが、やらせろ。それが条件だ。」
「今回の件の恩返し、ですか?彼には迷惑なだけかもしれませんよ。」
「そんなことはわかっているし、そんなつもりもない。あいつは口も悪いし態度もでかいが、コーヒーの味だけはわかるやつだ。そしてこの世でコーヒーの味がわかるやつは、歴史を勉強しているやつよりもずっと少ないんだ。」
「・・・・わかりました。では、ニコラ・テスラ・ウッド教授を戦術予報士として『船』は歓迎します。」
男という生き物は、時としてとても面倒なことを好き好んでやる、ということをマティルダはこのとき、学習した。
「引退講演の最後、覚えてる、あなた。」
「うーん、なんだっけ?」
「未来は予想するものではない、切り開いていくものだ。そして、強い意志を持ったものが、未来を切り開いていくことが出来ると思っている、と。」
本当に覚えていなかったわけではない。言うのが恥ずかしかっただけだ。同じ事を考えていたから。
「あ、そういえば・・・クリスさん、ナップさんは無事ですか?」
「ええ、今医務室にいるわ。」
ウッドとマティルダの顔色が変わった。
「怪我をしたのか・・・ひどいのか?」
「全然、寝ているだけです。」
「?」
「そうそう、ナップのことでご相談があります・・・・」
*******************************************************************
「ま、何処でも寝れることだけが特技のお前にしちゃ上出来だと、俺は思っているんだがね。最後の戦場でも寝てたんだって?」
教官の嫌味も、今の俺にはどうでもいいことだ。俺は、あの人の期待を裏切ってしまったんだ。
確かに、“本当は五日といいたいんだけど”といってたなぁ・・・はぁ。
加えて、最後は自分自身を裏切りそうになった。ほとんど、裏切っていた。
まったく・・・。
「ナップ。」
「イエス・サー。弁明のしようもありません。サー。」
「何か、言いたい事はあるか。」
教官による、ガンルームでの最終試験の総括はついさっき終わった。
一人一人のミッションを、短くではあるが分析評価された。みんな、それぞれにとんでもないミッションだった。
バルロスなどは、最前線の中隊長の前に連れて行かれ、“これから三日間お前が指揮を取れ”といわれたのだ。
中隊長といえば佐官で当たり前、どんなに低くても大尉が任命されている。
原隊ではバルロスは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ