003 教授と博士とマティルダ
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消音効果がとても高く、機械的な手段がない場合はよほど近づかないとわからない。
だから、突然上からサーチライトで照らされたニコラ・テスラ・ウッドはなすすべもなくその場で固まってしまった。
追っ手か?
十二時まではまだ二時間はあるだろう。パス・コードも発信していない。
逃げなければ。
せっかくナップに拾われた命。せめてマティルダだけでも。
携帯用ジェットの光が降りてくる。四つ、いや五つか。
六つ目がすでに近くに来ていた。
「ウッド教授、クリスです。」
突然後ろから話しかけられ、心臓が止まるくらい、びびった。が、見覚えのある顔だ。
そう、ウォルフの相棒、クリス・ウリジンだ。
光が二つ、親子が歩いてきたほうに飛び去っていった。
「時間がありません。とにかく“キャッツ”に。」
またか。
しかしこんなところでクリスに会うとはな。
「その“キャッツ”とやらにはあいつも乗っているのかね?」
その答えの代わりに、二人のコマンドに両脇から挟むようにして抱えられた。
マティルダはもう一人のコマンドが横抱きにしている。さすがに目を覚ましてしまった。
ちゃんと、ストラップは巻いてあるようだ。
「あなたが先よ。」
マティルダを抱いたコマンドに向かって言う。
頷いたコマンドは、危なげない動作でジェットをふかし、上昇していく。
サーチライトのおかげで行方がはっきりとは見えない。
「行って。」
二人がジェットをふかす。
後からクリスもついてきた。
「時間がありません。」
そういって案内されたのは、万能型宇宙船“キャッツ”の情報処理ルームだ。
「出来る限りのデータをそろえました。一分でも、一秒でも早く、“戦術予報”を作成してください。」
「何だって?おいおい俺はただの歴史の教師だぜ。」
「あなたの職業には何の興味もありません、今のところ。今必要としているのは、あなたの別の才能です。」
そういって、私を無理矢理コンソールに向かわせた。
「大体の事情はこちらでも把握しています。あなたと娘さんは、奥様、つまりアメリア博士に対する脅迫材料として監禁されていたのでしょう?」
「そ、その通りだ。助けてもらったことには感謝している。特にナップには。しかし、だからといって、俺に戦術予報なんて、出来ない。出来るわけがない。」
「時間がないのです、やって貰わなければ。すでにチームが向かっています。」
「何だって?いったい何のチームだ?」
「レスキュー・ミッションです。隊長はウォルフ。目標はアメリア博士。あなたの奥様です。」
二週間前に我々は拉致された。
すぐにアメリアとは引き離され、私とマティルダは例の収容所に連れて行かれた。
旧式アンドロイドだけの、プログラムされたことだけをこなす旧式アンドロイドだけの施設だ。
すでに破
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