003 教授と博士とマティルダ
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熱した議論を繰り広げるのだ。
ふむ、茶色がかった長い髪の毛。知的に輝く瞳とおおらかな物言い。ま、認めようう。この人は私の好みのタイプの女性だ。第一印象だけだが。
「ま、人を見る目には、結構自信があるのよ。すぐ結婚してくれとは言わないけど、まずは同居人から始めましょうか。」
なんだか、聞きなれない、予想だにしていない言葉が語られたようだ。
ここはひとつ、聞きなおしてみよう。多分私の聞き間違いだ。
「・・・何の話をしているんです?」
女の子が戻ってきた。女がお皿とフォークを手に持ち、私のトレイからデザートを取り始めた。
「私の目に狂いはない、と言っているのよ。」
どうやら私も観察されていたらしい。
それにしても、どうやったらこんな方向へ話が進むんだ?
「それは結構なことですが、結婚?同居人から?何なんです、いったい?」
「だから、私はあなたと結婚したいと思っている。でもいきなりではなんだから同居人からはじめましょ、ってことよ。」
あの時私はいったいどんな顔をしていたのだろう。
「部屋は余っているんでしょう?」
「・・・ちょっと、失礼・・・」
「夕方そちらに伺いますから。」
パニクっていた。
カフェを出ると、すぐ同僚に捕まった。
「おいおい、いったい何の話をしていたんだ?アメリア・ジョースター博士と。」
「・・・だ、誰だって?」
「何だよ、気がついていなかったのか。まさか失礼なこといったんじゃないだろうな?しばらくここで教鞭を取ってくれることになったらしいんだから、問題起こすなよ。」
「だから、誰だって?」頭が回らない。
「アメリア・ジョースター博士、MBT応用エンジニアリングの権威の。まったく、お前の好きな軍事にも多大な影響を与えているだろうに。」
「・・・その、MBT応用エンジニアリングの権威が、何だって私に・・・」
「まったくだなぁ。ま、小さな娘も連れていたし、話しかけやすかったんじゃなかったのか。・・・って結婚してたっけ、あの博士?」
午後の授業はどうやってこなしたのか、まったく覚えていない。思い出したくもない。
家に帰る段になって、やっと落ち着いた。
からかわれたのだろう。本気であるはずが無い。
どう考えたって、無理な展開だ。ドッキリか何かだろう。
とにかく、帰ろう。
夕方うちに来るとか言っていたような気がするが、くる訳も無いさ・・・。
「なかなかのタイミングね。私たちもちょうど今着いたところよ。」
「・・・ま、とりあえず、お茶でも・・・」
ごにょごにょとつぶやいた。
アカデミーの由来とは何の関係もない私の両親、ラウロ・ライヒとその妻フルーは、私にこの大きな、祖父から受け継いだ家と土地だけを残して他界した。十五年前の事だ。
両親だけでなく結婚式に参加していた親戚一同、一
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