第3話:ズルの意味を知る人が足りない……
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ない」
「じゃあ、トッシンさんの戦い方が間違ってる事をちゃんと言えば良いんじゃないの?」
アニマの言葉は正しい。
強大な力を振り回しながら突撃するだけで戦争に勝利出来るのであれば誰のも苦労しない。
だが、正しい台詞と人を動かす台詞は別物。
言い分がどんなに正しくたって、聞く側が不快となればそこに喧嘩が生まれ不和となる。
「言えるものならもう言ってるよ。だが、私達の国は突撃だけで完全勝利する事に慣れ過ぎてる。突撃以外の方法でも勝てる事を学ばせる為にもじっくり時間をかける必要が有る」
それを聴いたアニマが豊臣秀吉を悩ませる質問をしおった。
「オラウさんて、本当は戦争が嫌いなの?」
……この質問、単純に「嫌い」と言えば済む問題ではない。
置かれている立場によって「嫌い」の理由が変わるからだ。しかも、立場によっては「嫌い」ではなく「好き」になってしまう事も有る訳で……
「連勝し続けられる内は好きでいられるが、それは失うの恐ろしさを知らぬ者の戯言でしかない。豊臣秀吉は既に失う事がどれだけ恐ろしいか知ってるからこそ突撃以外の戦い方に拘る事が出来る。だが、そうではない上に敗北を経験した事が無い馬鹿は、何故下々が失うを過剰に恐れるのかが解らん。それが戦争の罪。戦争など最凶ズル決定戦でしかない」
多くの戦を経験して数多のズルを犯して来たこの豊臣秀吉が言うのだ。間違いない!
「なら、戦争はズルばっかだって事をハッキリ言えば良いじゃん」
そう!その通り!
その通り……何じゃが……
「言っても信じて貰えずに真意が伝わらないのであれば、言った意味は全く無い。だから、かなぁーり時間が掛かっても態度と結果で示すしかない。不器用な事この上ないがな」
そう。悲しかな、どんなに努力や細工を行おうと、結果が届かなければ誰もその努力や策謀は理解されない。
全員ではないと信じたいが、良い結果と悪い結果とでは鍛錬や策謀についての伝わり方が完全に真逆となる。
「アニマ、お前だって何もしていないのに役立たずの汚名を着るのは辛かろう?」
「うっ」
ここでアニマが言葉に詰まるとは……マッホーウ法国もムソーウ王国と同じ穴の狢か?
強大な攻撃魔法をふんだんに使った突撃以外の戦術が一切無く、故にアニマが使用する動物を操る魔法の真の恐ろしさを解らぬ訳か……
この先にある数々の困難が透けて見えて辛いのう……
「だから、私達で思い知らせてやろうではないか!私達の戦い方も間違いではないと!」
これは、優秀な忍者になり得た筈のアニマがマッホーウ法国の間違った常識と戦術への復讐であり、この豊臣秀吉に救い難い馬鹿共を預けて丸投げしたこの世界への豊臣秀吉の逆襲でもある!
「さあ!戦いの始まりだ!」
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