第12話
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を矢に変えて放つ呪文でっしゃろ?なら、あの罠との相性は最悪やで」
「そいつら、何を仕掛けている」
「寒気超優遇フィールドでっせ」
その説明だけで極大消滅呪文が使えない理由を理解するフレイザード2号。
「つまり、暖気の力を弱めて寒気の力を高める空間って訳ね」
「そうや。あそこに入ると、暖気は3000分の1となり、寒気は3000倍になりますんや」
「この俺が炎関連の呪文が得意である事を見越したうえでの伏兵って事か?」
「そう言う訳やから、わての力で一気にショートカットや!」
ハドラーちゃんが助けた異元扉に今回の待ち伏せ作戦が見抜かれた事に気付かないデスカール達の許に、キルバーンが再び現れた。
「バーン様からの伝言だってー」
ピロロの軽快な発音に苛立つメネロ。
「嫌な言い方だね!まるで馬鹿にされているみたいだよ!使い魔風情が!」
が、キルバーンの言葉は事態がもっと深刻である事を告げるモノであった。
「君達どころか、君達の雇い主であるガルヴァスがバーン様に見下されちゃってねぇ、何でもガルヴァスが自信満々にアバンの悪口をバーン様の前で言いまくたら、急にバーン様が怒りだしちゃってね」
キルバーンの説明に、デスカールが完全に困惑する。
「どっ!?……バーン様はガルヴァスを今後どうすると?」
「解雇は……一応避けられたよ。ガルヴァスがバーン様を上手く言いくるめたからね」
「そうか―――」
「だが!」
「まだ何かあるのか!?」
「ガルヴァスはしばらく、鬼岩城建城の現場監督を務めるそうだ」
「鬼岩城はバーン様が欲しがっているオモチャの1つだからねー、頑張って作りなよー」
つまり、ガルヴァスは自分を更に売り込む為にわざとアバン達を過小評価した事がかえって仇となり、大魔王バーンの怒りを買ってハドラー暗殺計画を解かれて戦地から追い出され、後方で建城の現場監督にまわされたのである。
ブレーガンが恐る恐る訊ねた。
「では……俺達はどうなる?」
それに対するキルバーンの答えは冷酷だった。
「当然、君達も鬼岩城建城を手伝ってもらうよ」
それを聞いたメネロは愕然とした。
ハドラーちゃんと戦う事すら出来なかったのだから……
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