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とある銀河の物語
002 ナップと教授とマティルダ
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の時刻表示をさしながら説明を続ける。
「ここにパス・コードを入力してください。パス・コードは“6074”です。“ろくでなし”と覚えていてください。」
初めて娘が微笑んだ。ほんの少しだが、報酬としては十分だ。
「それで、GPSが作動し、迎えが来ます。“ナップに言われた”といえば彼らにはわかります。あとは彼らの指示に従ってください。できますね。」
「そりゃ、できる。しかし」
「カロリーバーは先ほどの三本で全部です。後は迎えが来るまで水でしのいでください。」
「わかった、だが」
「出来るだけ、遠くに行ってください。あの山の方角です。暗くなったら別の目印を見つけて進んでください。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
「待ちません、時間がないのです。あ、あなたの白衣を私に譲ってください。・・・助かります。」
こういうのは、気まずいなぁ、やっぱ。
「臨機応変に、生かすすべを見出します。この岩場は、なかなか使えそうです。」
「う、む・・。」
「そういう訓練を充分受けてきました。何とかして見せます・・・うぉ!」
いきなり娘が抱きついてきた。うかつにも、うろたえてしまった。
「そういう訓練は、受けていないんだな。」大人の笑みと言うやつが男の顔には浮かんでいた。
「今度会ったら、ゆっくり娘の相手をしてやってくれ。」
「私は年上が好みなのです、残念ながら。」まったく、リップ・サービスしたっていいだろうに。
「・・・それでもいいから、死なないで。約束してください。」
傷つけるつもりはサラサラない。だが、嘘をつくには抵抗がある。とりあえず、黙っていた。
「充分、訓練を受けてきた、でしょう?」うーん、この目で見つめられるとなぁ・・・。
「そうだよ、大変な訓練だったんだ。教官はものすごく優秀で、とてつもなくえげつないやつで、うんざりするくらい嫌味なやつだけど、すごい訓練を受けてきたんだ。」
「・・・だから?」
「だからこのミッションに選ばれたんだし、“Touched by Angele”されたから、うん、大丈夫、死なないよ。」
ま、片手がなくなっても、下半身がサイボーグになっても、死んではいないということで。
「もう行って下さい。なるべく遠くへ。なるべく早く。」
なんか恥ずかしくって、二人の方を見れないな。
来た方向に引き返しつつ、ひときわ大きな岩の上に乗って二人の行った方を眺めた。まだあんなところか。ま、しょうがないか。
さて、岩場の入り口へ急ぐとしよう。まずはそこで迎え撃つ。多少の準備もしたいし。

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「名前ぐらい聞いておくべきだったかなぁ。」
「しかし、あのおっさんは何者なのか
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