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とある銀河の物語
002 ナップと教授とマティルダ
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しなければ。」
「あ、ああ、そうだな。」
それほど広い岩場ではないが、この二人のペースを考えたら二時間近くかかるかもしれない。俺一人だったら二十分もかからないんだけど。
「何も聞かないのか?」
しばらく歩いた後、男が意を決したように言う。
「というよりも、何も教えてくれないのか?」
そりゃあ、いきなり救世主が現れて救ってくれたのはいいけど、何の説明もないんだからなぁ。
行き当たりばったりで助けちゃいました、なんていえないよなぁ・・・
「そうですね、少し聞きたいことがあります。」
自信ありげに言ってみた。大丈夫、何でもわかってやっています、何も心配要らない、と誤解してくれればいいんだけど。
「あの施設に人員はどのくらいいるのか、車輌やヘリ、航空機の類はどのくらい配備されているのか。」
「おいおい、そんなことも知らないでいたのか?」
いきなりぼろを出してしまった。ま、仕方がない。ファースト・ミッションだし。
「それを調べるために来て、こうなってしまったのです。」
「なるほど、行き当たりばったりというわけかね。」
なんか、鋭いな、このおっさん。煙たいタイプなのか?教官のような。
「臨機応変といっていただけると、もう少し現実をうまく説明しているのではないかと思います。」
しまった、教官を思い出したら、つい減らず口まで復活してしまった。
「うん、それもいい表現だな。俺もその方がいいと思う。要は状況をどのように生かすか、生かすすべを見出すか、だ。」
「はい、まったくそのとおりです。」
「お父さん・・・」
なにやら娘が小声で男に言っている。親子の会話というやつだ。これだけでも助けた甲斐があるというものだ。
たとえ偵察ミッションを大きく逸脱したとしても。

予想通り、車輌、航空機の類は一切配備されていないようだ。二人は二週間ほど収容されていたようだが、数体(あるいは十数体)のアンドロイドしか見ていないらしい。
それからはほとんど会話をすることもなく、黙々と進んだ。結構な岩場で、気軽に冗談を飛ばしながら進むわけにはいかなかったのだ。
運がいい、というべきか、岩場を歩き始めてから曇り空になってきた。夕方には雨になるかもしれない。
湿気が出てきているので、フィルターに水がたまりやすくなっている。これは助かる。ただでさえ一人分にも足りないのだから。

岩場を、出た。
「さて、これが水分を大気中から集めるフィルターです。使い方はわかりますね。それとこれは、地面から水分を濾し取るフィルターです。休憩するときは必ず地面に刺してください。こちらのほうが効率よく水分を集めれますから。」
「おい、いったい・・」
「これがコミュニケーターです。が、ほとんど役には立ちません。でも、ここの時間で夜中の十二時になったら。」コミュニケーター
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