暁 〜小説投稿サイト〜
とある銀河の物語
002 ナップと教授とマティルダ
[6/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はなかったが、異物があった。人口建造物だ。
目標を発見した。

この五日間、山こそ無かったが、森、草原、荒野などの、人口建造物など一切無いところを走り続けてきた。
そんなところに崖の端から人口建造物が見えてきた。脳は異物を発見したことにより、一種の警告を発した。それが視界の隅の動きとして認識されたのだろう。
なぜ、という思いがある。
なぜ、こんな何も無いところにこんな施設を作ったのか?ま、わからないから偵察に来ているわけだが。
それにしても、なぜ、この偵察を俺のような新米にやらせるのか?もしこの施設がとてつもなく重要な施設だったら?たとえば、すごく、なにかとんでもない施設だったら、こんな新米のファースト・ミッションにしては荷が勝ちすぎる。それとも、そんな重要な施設ではあるはずが無いということで、ここが選ばれたのか?
「あの教官のことだからなぁ。」自然とつぶやきがもれた。五日ぶりだ。そんな簡単なミッションを選ぶはずが無い。絶対に。「どこかにひねりがあるはずなんだ。」
とにかく、日のあるうちに出来るだけ近づいて、明日の日の出とともに偵察を始め、午後には移動しよう。出来るだけ離れて、午前0時にGPSを発信して迎えを待つ。ミッション終了。
となればいいんだが、さてさて、どうなることやら。
完全に日が落ちるまでにあと二十分はあるだろう。少しでも移動をしておこう。


こちらからレーダー、ソナー、電磁波、赤外線類を発することは出来ない。発するだけでこちらの位置を暴露してしまうことになるからだ。
もちろん体温も熱源になりうるが、その辺のところはステルス仕様の野戦服が何とかしてくれている。手袋、簡易マスクも装着した今の俺は、電気的にはほとんど見えない。
コミュニケーターの裏蓋の中から取り出したいくつかの色の違ったフィルターはそこそこ役に立つ。これらのフィルターを通してみることで、ある程度の電気的なシグナル、質量の違いを見ることが出来るからだ。
しかもこちらからは何も発しない。“GIFT”など、高度に発達した科学技術が使えないときは、こんなものが役に立つ。
しかし、なぜ。
なぜ、こんなにセキュリティ・システムが少ないのか?
塀代わりの電磁柵と、赤外線センサー、それと、たぶん地雷だろう、周りに転々と見える質量の違うマークは。これだけだ。

この程度のセキュリティ、でいったい何を守っているんだろう?
いったい、何をやっているところなのか?

夜の開ける前から観察しているが、ほとんど動きが無い。 じわりじわりと近づいて、地雷原の手前まで来てしまった。柵までほんの二十メートルだ。
思いのほか地面がやわらかく、うまく体を沈み込ませることが出来た。この分なら簡単に地雷も掘り出せそうだ。もちろん、やらないが。

建物はそう大きくは無い
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ