暁 〜小説投稿サイト〜
とある銀河の物語
002 ナップと教授とマティルダ
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森がある。そこまではほとんど遮蔽物のない草原だ。
戦闘服と簡易マスク、手袋のおかげで電気的にほとんど見えない状態の俺は、音を立てないこと、視認されないことを徹底しなければならない。
何しろ手持ちの武器は、旧式のサイレンサーと残弾十発、刃こぼれのひどいコンバット・ナイフと小型ナイフが数本のみなのだから。
これで、どうやって残りの時間を稼ぐのか。
ずいぶん頑張ったが、夜中の十二時にはあと数時間はあると思う。正確な時間は、コミュニケーターを渡してしまったので知るすべがない。
「これ以上は、さらして引っ張るしかないかもなぁ・・・だとすると、あの子との約束を守れなくなってしまうな。」
ま、あの二人のために“使い捨て”となるなら、それもいいか。すでに報酬ももらっていることだし。
とするなら、森に入る前にもう少し引っ掻き回すのがいいかな。一体一体の確実な機能停止は望むべくもないが、多少の混乱はさせてやれるだろう。
旧式のサイレンサーをホルスターに戻し、小型ナイフを手に持つ。全部で六本ある。忍者の使う、クナイのようなやつだ。
アンドロイドの位置関係は、森側を正面としてみたとき横長に広がっている感じだ。俺は、彼らから見て左前方に位置する。
大きく深呼吸をして、やつらの中心めがけて走り出す。もちろん音は立てない。俺がやっていることにはすぐ気づくだろうが、それが遅くなればなるほどいい。
一本目のナイフは、すれ違いざまにアンドロイドの首を振りぬいた。そして別のやつのバイザーに向けて投げる。
中心にたどり着くまでにもう三体にダメージを与えた。結構な音が立ったので、たぶん全アンドロイドが気づいただろう。
いい状況が作れるまで、ここで立ち回りを演じなければならない。なかなかの正念場だ。
刃こぼれのひどいコンバット・ナイフを右手に、旧式のサイレンサーを左手に持ち、近づいてくるアンドロイドを処理していく。
なんと言っても今回一番の幸運は、こいつらが俺のサイレンサー以上に旧式だということだ。
動きも遅いし、視覚、聴覚も特化されているわけではない。射撃だけは正確だけど、同士討ちはしないようになってる。
充分なスピードで動けば、やつらには俺を捕まえられない。死角に回り込み、コンバット・ナイフを振るう。さすがに切れ味が悪いぜ。
だんだんと集まってきた。このままのスピードでうまく動き続けていれば捕まらないが、数がそろえば壁を作られてしまう。
俺はなるべく多く、近くに集めたいが、かといって脱出できないほど密度が高くなってもらっても困るのだ。そろそろだ。
三対がまとまっているほうへダッシュし、至近距離からバイザーに弾丸をぶち込む。三発使った。
倒れる前にコンバット・ナイフを腰に突き刺す、抜く、突き刺す、抜く、そして突き刺した。
思ったとおり、突き刺したままのコン
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