002 ナップと教授とマティルダ
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アンドロイドの前に音もなく進み出て正面からバイザーを狙い撃ちする。また移動。
音を立ててアンドロイドが崩れる。その音を聞き、ほかのアンドロイドたちが動く。俺は移動し、狙い打ち、移動する。
実包は予備を含めて三十発しかない。果たして何体来ているのか。
移動し続ける。
位置を把握されたらおしまいだ。
この実包では、頭のバイザーをそれなりの角度で狙わないと機能停止させれない。
貫通力は高いのだが、破壊力はあまりない。
今のところ外してはいないと思うが、果たして何体機能停止したのか。
旧式のサイレンサーに最後のマガジンを入れ、ホルスターにしまう。右手にコンバット・ナイフを持つ。
この手のアンドロイドの急所は三箇所ある。
頭にある制御装置、首の神経回路、腰の動力部だ。ナイフで狙えるのは首の神経回路だ。
俺の野戦服はそれなりに絶縁処理してあるが、やはり動力部は狙いたくない。刃こぼれもひどいだろうし。
あと、どのくらい時間を稼げるだろう・・・
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「ナップといったな、あの男。」
明るいうちは、とにかく歩き続けた。
暗くなり始め、ようやく森の入り口に差し掛かったところで休憩を取る事にした。
「若い、まだ二十歳にもなっていないだろう。」
言われたとおり、フィルターを地面に刺す。「少し水分を取っておきなさい。」もうひとつのフィルターを娘に渡した。
素直に受け取り、口にする。ほんの一口すすって父親に返した。
「ウォルフのことかも知れんな。」自分も一口すすり、ナップからもらったバックパックにしまった。
「うんざりするくらい嫌味な教官といえば、あいつくらいしか思い浮かばん。・・・厳しい訓練を受けてきた、か。とすると最終試験だったのかもしれないな。」
娘は最後のカロリーバーを包装紙から出し、父親に差し出した。
「お前が食べたらいい。俺はまだ大丈夫だ。」
「私はダイエット中だから、お父さんが食べて。」
「・・・じゃあ、半分ずつだ。」
優しい、良い子に育った。母親の性質を多く受け継いだに違いない。
「お前、いくつになったんだ、マティルダ?」
「もうすぐ、十三です。」
「・・・うそだろう・・・・もう、そんなになったのか?」
「子供はほっといてもそれなりに育つの、お父さん。」
「う・・・んん・・・そうだな・・・。」
しばらくの沈黙。
「ナップといったな、あの男。」
今度は娘の方をチラッと盗み見ながら言った。
「いやだ、お父さん。今度はあの人に私を押し付けようと考えているの?」
「ば,馬鹿言え!だ、誰がそんなこと!!」
時として、娘は父親に対して超能力めいた力を発揮する。
「お父さんなりに私のことを心配してくれ
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