002 ナップと教授とマティルダ
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?」
「女の子に抱きつかれたのなんて、もしかして生まれて初めてじゃないか?」
「こんなところに、収容所?しかも囚人は二人だけ?」
作業をしながらも、いろいろなことが頭に浮かんでくる。ほとんどがくだらないことだが。
二個目の閃光グレネードといい、今、追っ手が来る前に岩場の端で多少の準備が出来ていることといい、今日の俺はそこそこ運が良いようだ。
これで追っ手を全滅させて凱旋できれば最高なんだが、世の中そんなに甘くはないよなぁ。
それよりも、今までが運が良すぎたと思って気を引き締めていかないと。十八歳にもならない身空で死にたくはない。
あの娘との約束もあるし。
「名前くらい聞いておけばよかったなぁ・・・」
おっと、つい声に出してしまった。近くに追っ手が来ていたら、多分聞かれただろう。これで警戒して多少なりともゆっくり近づいてきてくれたら時間稼ぎになるんだが。
ひときわ大きな岩の上に伏せ、旧式のサイレンサー銃を構える。そのまま凝固した。さて、どのくらい待つことになるのか。
迎え撃つ準備といっても、そんなに複雑なことはしていない。何しろここは岩場だ。岩しかないのだ。森ならまたいろいろと罠を仕掛けれるのだけど。
おっさんから譲ってもらった白衣を幾つかに裂き、俺の身長より高い岩の横に垂らす。同じ方向から見て、二つ以上見えないように配置することを心がけた。
わずかながら風があるので、白衣も少しそよぐ。それを追っ手が見て発砲してくれればしめたものだ。
追っては俺に対して位置を暴露することになり、それだけでも俺が有利になる。
そして狙い撃つ。
俺の銃は旧式のサイレンサーで、かなり性能の良いフラッシュ・ハイダー付だ。しばらくはこちらの位置はばれないだろう。
何しろ今日の俺は運がいいしね。
いやいや、運に頼らないと決めたんだな。とにかく時間稼ぎに専念だ。夜中の十二時までは何とか。
どのくらい凝固していたのか、いまだに何の動きも見られない。そのまま凝固を続ける。
ずいぶんと暗くなってきた。白い布だから、多少暗くなっての動きは見えるだろう。
・・・来た。
何人、何体くらい来ているのか?
おっさんの白衣に引っかかって発砲してくれるか?
いつの間にか真っ暗になっていた。いくら発砲してくれても、ここからの狙い撃ちはもう難しい。
というより、真っ暗になってから来てくれたのは好都合だ。これは俺の土俵だ。
伏せていた岩から降り、移動する。岩場の端の方へ。音を立てずに、すばやく。
いろいろな音が聞こえる。小石を踏みしだく音。銃が岩にあたる音。装備がこすれ合う音。
通常装備の追っ手達は、とにかく音を立てる。隠密行動のための装備ではないのだ。
俺の野戦服は音を立てない。そして俺の脚は音を立てないように徹底的に訓練されている。
二体の
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