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とある銀河の物語
002 ナップと教授とマティルダ
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売り込んだ。いろいろと頭を使い、うまくやったようだが、結局はあの“教官”の「ま、一人くらい、いいんじゃないの」の一言で決まった。これでランがたいしたことのない奴だったら、“教官”に対する風当たりも少しは強くなったんだろうが、最終試験に一回目で選ばれてしまう逸材だ。“教官”の眼力は確かなものだ、ということになったらしい。
俺の場合も“教官”の判断で訓練キャンプ入りできた口だ。「ほう、身寄りがいないのか。ポイントが高いぞ。よし、キャンプ入りを認めてやろう。お前がどうなっても苦情を言う奴がいないというのは”最高の捨て石”の必須条件だ。」・・・・。

ミアル。
若く見えるし、実際に若いのだが、六人の中で唯一の妻子持ち。生活の安定のために志願したといってはばからない。
陽気な男で、「うちのかみさんがねぇ、・・・」が口癖。電子機器に長け、メディックとしても優秀。その他なんでもそつ無くこなすが、ランのような天才肌ではなく勉強と経験で積み上げてきたタイプである。出来ることが多くなればそれだけ実入りも多くなるから、らしい。別にけちな訳ではない。みんなとよく飲みにいくし、ギャンブルもする。おんなは買わないようだ。もしかしたらミアルほど”戦う理由”が明確な存在も他にいないのかもしれない。

エム。
優秀なスナイパーである。どれくらい優秀かというと、”スローバースト”(ゆっくりめの自動三点射)を使って三人に致命傷を与えることが出来るのだ。もちろん銃器を注意深く選ばないといけないし、敵の配置などの外的条件もある程度そろわないといけないし、シングル・ショットよりもずっと必中射程距離は短くなる。が、射程四百メートルでこれが出来れば戦場では相当な武器になる。敵の斥候、(たいていは二人組み)を同時に、速やかに殺せるということは、すぐに連絡される心配をしないで済む。斥候の役割は偵察して報告することだから、まずそこで出鼻をくじくことが出来る。十人の小隊がいきなり七人になったときの衝撃は想像に難くない。ほかにもいろいろあるが、使い方次第で多大な戦果をあげることが出来る。ちなみに彼女のシングルショットにおける極大射程記録は一千五百メートルだ。

「よし、こんなもんかな。」
荷造りを終えた俺は満足げにうなずいた。
「何だ、ずいぶんと小さいな。それで足りるのか?」
さすがはバルロス。よく見ている。年齢や経験から自然とリーダー的な立場に立っていた。リリアが突っかかるかと思いきや、そうでも無くうまくやっている。 二人ともさすがである。
「ええ、極限まで荷物を減らしました。計算してみたら、一日時速18.75キロで十六時間走らないといけない計算になりますから。」
これでもか、というくらい減らした。 携帯食料も一番かさばらないタイプを選び、箱から出し、バックパックの隙間やポケットに詰
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