001 最終試験
[7/8]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「と、とんでもない奴だな、おい・・」とバルロス。
「“教官”も最後はすごい顔してたわよ・・・お、おかし・・・」これはリリア。しわが増えるぞ!
「い、いいものを見せてもらったよ、マール・・・」うるせぇ、ラン。
「おまえ・・しかし・・・くくく・・・」なにが言いたいんだよ、ミアル。
「・・・・・・・・・・・・・!!」何とか言えよ、エム。
俺を含めてこの六人が今回の最終試験を受ける訓練生だ。女が二人いるが、これは別に珍しいことではない。
クリス特別教官の影響か、訓練生になりたがる女性は多い。それに、パイロットの適正という奴も、女のほうがいいらしい。俺だって、どうせ命を預けるなら、より優秀なパイロットに命を預けたい。男とか女ではなく。
「・・・もうすぐTake Offだぜ。席に着けよ。」
精一杯ハードボイルドに言ったが、聞いちゃいねぇや。俺はさっさと席に着きハーネスを締めた。偉大なる“GIFT” の一つ、重力発生装置は小型化できとても使いやすいのだが、この手の船にはほとんど無い。その代わりMBTを応用した重力制御システムが設置されている。
戦闘艦は急加速、急減速を推定して作られている。戦闘中にいたってはその繰り返しだ。乗員はたえずその急激な体感重力の変化にさらされる。結果、座っているだけでも激しい疲労にさいなまれる訳だ。この“急激な体感重力の変化”に対して、重力発生装置は何も出来ないが、重力制御システムはその変化を“ある程度”吸収してくれる。吸収して、いわゆる“ホワイト・ホール”から吐き出しているらしい。その原理は何度聞いてみてもさっぱりわからなかったが、いいのさ、使えれば。当初、宇宙環境保護を訴える団体が“MBTは宇宙にごみを撒き散らしている”とか“母なる宇宙にもっと優しく”何とか言っていたらしいが、今ではまったく聞かれなくなった。実害はなんら見られなかったし、実利は途方も無く大きかったからだろう。
通常航宙時はだいたい、0.7から0.8Gくらいに保ち、大きく変化するときほど大きく吸収し、小さすぎるくらいの変化のときはそれこそ何もしないらしい。フレキシブルである。
このMBTはいろんなことをする。重力制御もしてくれるし、頼めばシャワーの後、体を拭いたりもしてくれるかもしれない。体中についた水滴を吸収してホワイト・ホールから放出して・・・。
・・・何といっても、一番の能力は“時間”と“距離”を曲げてみることが出来ることだ。
これが出来ることによって、私たちの“跳ぶ”距離が飛躍的に増大した。瞬時に、とはいかないが、それでも何十光年、何百光年も離れたところをほぼReal Timeで観測し、到着地点の安全確認が出来るようになったのだ。もちろん限界もある。MBTの限界というより、観測精度の限界だ。遠くなればなるほど、より緻密な精度が要求される。M
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ